3月27日夜便で、キンシャサの我が家に日本から1人の青年が到着した。
東京芸大建築科を今春卒業し、そのまま大学院に進み建築の道を進む青年。息子の中学時代からの友人だ。
アフリカ、といえば大自然と動物を連想されるだろうが、キンシャサにいる限りそんなアフリカは存在しない。
ここは街中を歩いて散策するということも危険が伴うし、車がなければ身動きが取れない。車で2時間ほど郊外に行かないと「自然の風景」がない、混沌としたアフリカの大都会、キンシャサ。
かれには、ここで暮らすアフリカの人々の生活に触れ、アフリカの、ゴミ箱をひっくり返したようなエネルギッシュな大都会の雰囲気を感じて欲しい、日本にいて身についた既成概念を取っ払い、自由な柔軟な視点を持って欲しい、そしてそんな体験を将来に繋げて欲しい。そんな思いで、キンシャサに来ることをかれに勧めたのだと思う。
極力、母親みたいなわたしが彼にくっ付いて回らないようわが身を戒めたつもりだったが、あちこちでわたしも出没して一緒に楽しませてもらった。
かれにとってラッキーだったのは、キンシャサで日本語を教えたり、キンシャサの起業家の元でインターンとして働く日本の学生に出会えたこと、そして彼らを通して色んな人たちに出会え、情報を得られたことだろう。
夫も、わたしと同じ思いからかれをフォローしていた。
かれにくっ付いてわたしが見聞したことはこれから追々書いてゆこうと思う。
上の写真は、キンシャサから2時間ほど行ったところにある、ボノボのサンクチュアリ、”Lola ya bonobo”(リンガラ語で、”ボノボの楽園”)を訪ねた帰り道にある、「Lac de Mavalee」湖畔のレストランで昼食を取った時のものだ。左から、日本からの青年・洋一くん、運転手・Land、そして夫。
また、慶応大学のプロジェクト”ACADEX”の一つ、Kinbondo小学校も訪問した。ちょうど春休みを利用して帰省中の慶応大学英語講師のサイモン先生にもご両親にもお会いでき、その学校の生徒達からかわいい歓迎セレモニーを受けた。
滞在中には、夜の大雨と雷の中を慶応大学の学生たちがずぶ濡れで我が家にたどり着いて一緒にご飯を食べながら語り合ったり、2回の停電に見舞われ、ろうそくの灯りの中でお客さんを招いての食事会があったり、悪路のドライブがあったり、レンタカー運転手とのネゴで鍛えられたり。キンシャサ美術大学を訪れて学生とも交流もあったようだ。
アフリカ生活ならではのハプニングも後々良い思い出に変わってゆくのだろう。
かれは一昨日の21:05発の便で出国したのだが、当日キンシャサから飛行場までの道路が大渋滞だという情報が入り、夫のプロジェクト事務所を15時に出発した。
すると渋滞も難なく切り抜け、16時過ぎに飛行場に到着してしまった。その日の午前中に市内のホテルにあるエアフランス・カウンターでチェックインも済ませていたし、ンジリ飛行場2階のレストランに入り、時間つぶしに「氷無しで!」と付け加えて飲み物を頼んだ。
何の障害物もない、窓の向こうに広がる雄大なコンゴ川風景を見ていたら、だんだん西の空が赤く染まってきた。
きっとコンゴ川の向こうに真っ赤な夕日が沈むんだね、夕日が地平線に沈むのを見届けたら、わたしは帰るね、と言って、夕日を見つめ続けた。
コンゴ川の上の空気は蒸発する川の水でもやっていた。案の定、地平線手前で夕日は蒸気で隠されたが、コンゴに来て初めて見る、真っ赤な大きな夕日だった。
夕方18:00ちょっと過ぎ。
さあ、帰るとするか。洋一くんも道中気を付けて。良い旅を。
階下の出発入り口で握手した。またおいで!
かれは、初めてのアフリカでどんな印象を持ったのだろう。
アフリカでの記憶は日本に戻って日々の多忙な流れの中に遠のいてゆくのだろうが、きっとかれの将来のどこかで蘇って彼を助けてくれるはずだ。そんなことを思いながらかれの後姿を見送り、運転手の待つ駐車場へと引き返した。
再会の瞬間、どんなにか嬉しかったことでしょう。
返信削除hiroさんご夫妻のことですから、お心づくしの歓迎をされたのでしょうね。
洋一くんもきっと、めくるめくような日々をすごして、かけがえのない旅の思い出を持ち帰られたことと思います。
それだけに、たいせつなお客さまを見送られたあとのポッカリ空いたようななんともいえない淋しさが思いやられるなぁ。
次の出会い・再会がまたキラキラの笑顔を運んで来ますように!
その場にいなくても、こうしてhiroさんの文章で、すばらしい時間を共有させていただいてうれしく思います♪♪♪
洋一くんとの見聞録、続きを楽しみにしてま~す(^-^)
結局、くっ付き虫になった1週間でした。いろんな出会いを毎日報告し続けることがわたしの宿題だ、とか勇みまくっていますが。
返信削除夕日、ってきれいで、切ないねえ。
由樹さんの来キンシャサも首を長くして待ってます!!
ようやく見られたんですね、真っ赤な大きな美しい夕日。よかった。
返信削除その大きさのぶん、切なく思われるのかしら……。
hiroさんの綴るブログは、そこに登場する人たちにとっても
より思い出深く、意味深いたいせつなものになっていくのでしょう。
わたしもいつか訪ねてその夕日を観られたらいいなと思います。