2012年3月27日火曜日

我が家のお手伝いさん

じゃーん!!この女性が、毎朝、重役出勤のフロランス、我が家のお手伝いさんだ。
昨日は、国際女性デーの時に夫が贈った布地で彼女自身が縫った服を着てやって来た。いつもおしゃれな彼女だ。
我が家で働くようになって初めの頃、彼女も例に漏れず、”カツラ”を着けて来ていた。それがなんとも不自然で彼女を老けて見せるように感じていたら、ある日、彼女がカツラ無しで現われた。それがとっても自然でチャーミングだったから、「あなたは自分の髪のほうがとっても似合っているよ。」と言うと、カツラ装着をやめたのだった!
とっても魅力的でしょう!

彼女のフルネームは、”FLORENCE MALUNDAMENE NKEMBI”
「あなたの名前の”フロランス”はヨーロッパ的だね。アフリカ的な名前はもう主流ではなくなったの?」と訊くと、「わたしたちはアフリカ的な名前もちゃんと持ってるよ。”NKEMBI"というのがそれだよ。」。
なるほど。ヨーロッパ的な名前と、アフリカ的名前と二つ持っているけど、普段はヨーロッパ風名前をよび合っているらしい。
フロランスはキンシャサの南、バコンゴ出身。洋裁の先生をしていたと聞く。現在、夫、4人の娘と1人の息子の7人家族。夫もバコンゴ出身。
「わたしの夫は一生懸命勉強し大学まで行ったのに、それを生かした仕事に就けなかった、結局わたしの夫は運転手だよ。」と嘆いたことがあった。子ども達にはしっかり学問を身につけて欲しいと言っている。
ある時は、「わたしの国には、資源も豊富にあるし、森も豊かだ。なのに、わたしたちにお金がないのはどうしてだ!」とこの国の政府のあり方を遠回りに嘆くのも聞いた。

彼女は我が家でお手伝いさんをしながら、バナナも売っていて、自宅の庭では野菜も作っているそうだ。もちろん家族が着る服は彼女のお手製。
わたしは小学校の遠足や運動会でバナナを食べ過ぎて(あの時代はバナナは特別な意味を持っていた!)ちょっと食傷気味なのだが、我が夫はあきれるほどのバナナ大好き人間。彼女が持ってくるバナナを昼食用に2本持って毎朝プロジェクト現場に出かける。

彼女からは、食べ物のことや習慣のことをいろいろと教わる。
雨季と乾季しかない常夏のコンゴにも野菜や果物の旬があることも知った。ここの青菜もいくつかあって、”ビテグテグゥ”はお浸しにすると小松菜のようで美味しいし、”ンガイ ンガイ”は茹でると茶色になり酸っぱいが、油とだしの素で炒めると高菜のような味が楽しめる。
中央アフリカで愛飲した”シトロネール”(レモングラス)も彼女が株を持ってきてくれて我が家のプランターに植えられた。シトロネールを植えていると蚊除け効果があるというし、葉っぱを摘んで熱湯に入れてお茶にして飲むとおいしい。
また、”ブルグツゥ”という木の葉っぱを乾燥させたものを熱湯に入れてお茶にして飲むとおいしいし体にもいいんだよ、と持ってきてくれて、我が家のお茶として定着しつつある。
栄養のことも彼女はよく口にし、パーム油はビタミンCが豊富だとか、ピーナッツを食べると良い、とか姉のような口調で教えてくれる。実際、わたしに”vouvoyer”(畏まった言い方)ではなく、”tutoyer"(友達言葉)で話していることがあり、「彼女の親しみ」として受け取って聞いている。

彼女が我が家に来て3ヶ月近くの間に、「娘がマラリアになった」、「わたしは発熱した」から病院に行って薬を貰ってから来ます、と電話があって遅れてきたことが2度あったが、それでも仕事にやってきた。 マラリアの熱だといって来た時は、さすがにだるそうですぐに帰した。

彼女は、家でもしっかりものの奥さんであり、しっかりものの母親なんだろうなと思う。
ときには彼女のやり方が気に障るときもあるが、習慣の違いだと認識しつつ、きちんとわたしの希望を伝えようと思っている。

そろそろ9時になる。フロランスはちゃんと時間通り9時に来るかな。一番下の娘を近所の人に預けて出勤し、キンシャサの朝のラッシュはひどいから、通勤は大変だと思う。
よく「今朝はひどいラッシュだった」、と遅刻の言い訳をするが、時には、「マダム。マダムの時計が進み過ぎているのだ。わたしの時計はまだ9時3分だよ。」と我が時計のほうが正しいと主張する。だったら、3分過ぎているのはどうなのよ、と意地悪く思ったりもするが、わたしも遅刻魔だったしなあ。強くは言えないところがある。

昨日、帰るとき、一番下の娘が熱を出してねえ、せっかく彼女の4歳の誕生日なのに。帰り道で贈り物を買って帰ってあげないと。ごちそうも作らなきゃ。
母親の顔に戻っている。

また、今日も一日が始まる。

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