キンシャサ・フランス学院中庭~6月27日朝~携帯電話の小屋モニュメントとDELF受験者たち |
初めて受験した2月の試験で、わたしは聞き取り問題にまったく歯が立たず、合格を果たせなかった。
わたしのフランス語の出会いは、1992年7月から滞在した中央アフリカ共和国のバンギでだった。
8歳の娘と4歳の息子を伴って夫の仕事で滞在したバンギは、フランス語オンリーの空間だった。だから、子どもたちも、フレンチスクール通学という選択肢しかなかった。
週に2回、子どもたちのためにフランス語の家庭教師に来てもらって学校の授業の補習をお願いした。
わたしは、日本大使館経由で送付される、海外子女教育財団発行の日本の学校カリキュラムに沿った教材を子どもたちと一緒に勉強するほうを担当した。
自身のフランス語学習は、日本から持ってきた「フランス語の最・初歩」とかいう文法書で自学自習。フランス語でのコミュニケーションの難しさに辟易した。
1995年7月に帰国して、娘は海外子女枠での中学受験の準備に忙しくなり、娘の受験が終わったら今度は息子の一般枠での中学受験の準備で忙殺され、フランス語のことなど、どこかにふっとんでしまった。
子どもたちが引き続きフランス語を学習できる環境に入ると、わたしもまた細々とNHKラジオ講座のテキストを買ってフランス語の勉強を再開した。
ラジオ講座の週の前半の3日間が基礎編だったので、その3日間だけでも聴講しようと決心したが、子どもたちの学校の行事などで聴けない日が続いたりもした。
子どもたちの学校のフランス語の教材を覗いたりもした。
地元の公民館のフランス語教室に通ったこともあった。
そんなふうに細い細いフランス語の道を通ってきた。
そして数年経って、わたしは頭の手術を受けた。
2、3年ほど、わたしのフランス語自学自習は途絶えた。
その間ずっと、夫は仕事でアジアやアフリカに調査に出かけた。
フランス語圏の仕事が多かった。
わたしは、子育てもそろそろ終了の時期に来ていて、何かを見つけなければと試行錯誤を始めた。
三回の夏と、冬の一回に、期間限定の絵本屋を開店したのもこの時期だ。
絵本のことと平行して、いつかまたアフリカのフランス語圏に夫に同伴して行きたい、滞在したい、という夢も持ち続けた。
夢を持ち続けて、また細々とフランス語自学自習を再・再開した。
それから。
娘が縁あって、フランス人と結婚し、フランスに家族ができた。
これはもう、フランス語をやるしかない。
時期を同じくして、夫がキンシャサに一緒に行こうと言ってきた。
娘たちを2011年の12月初めにフランスに見送り、大晦日にわたしたちはキンシャサに旅立った。
今回がわたしの人生最後のアフリカ滞在になるかもしれない。
それに、今回の滞在は子どもたちがいないのだから、自分自身に目標を持とうと思った。
・ たくさんの人たちに出会おう。
・ ゴルフをがんばろう。
・ フランス語をしっかり勉強しよう。
この3つだった。
そして、2012年2月からだったか、友人の紹介で週2回のフランス語の個人レッスンを受け始めた。
その先生とは、しっかり話すために、まず文法を復習した。
書くこと、読むことも重視する先生だった。
わたしは、もともとおしゃべりな性格だから、持っている語彙で話すことは好きだ。
でも、聴く姿勢を持っていなかった!
「エステの好きなヒロコサン。エクテの苦手なヒロコサン。」
とごまかしてきたが、本当に聴くことが苦手だった。
フランス語学習の一つの指針として、キンシャサで受験できるDELFにトライしてみたら、と夫が提案した。
フランス語教師に受験のことを話すと、B1レベルに挑戦してみたらと言う。
フランスに行ったときに、DELFの過去問題集を買ってきた。
今年2月。
過去問題集にまったく手を付けられないまま受験し、聞き取り問題で失敗。
ショックだった。
もう二度と受験はしないとも思った。
でも夫は、一度や二度の失敗でへこたれるなと言って、6月末に再挑戦することを勧めた。
フランス語教師も受験を続けるべきだと背中を押した。
そうだな、カッコつけてもしかたない。
等身大でいこう、合格するまで受験し続けたらいいんだ。
でもなあ。
キンシャサでの2年半のフランス語学習の集大成として、何らかの形に残せたら幸せだろうなあ。
ともあれ、今の実力でトライあるのみ!
6月27日、朝。
上のレベルを受験する夫と共に、フランス学院へ向かう。
難しかった。
やっぱり聞き取りができない。
でも、耳の穴全開!、で聴き入る。
読解、フランス語作文は何とか奮闘。
昼食時間を挟んで、口頭試問。
口頭試問での試験官二人とのやり取りは楽しめた。
そして、今日7月11日。
午前中、夫から電話が入る。
「ふたりとも、合格してたよ。おめでとう。」
しばらくして、事務所の夫から、わたしのパソコンに合格証が添付されて送信されてきた。
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