2013年12月31日火曜日

キンシャサ騒然!クーデター未遂事件!?

静かで自然豊かなキンシャサゴルフクラブ10番ホール


12月30日。
多くの外国人がクリスマスと新年の休暇を本国の家族たちと過ごすためにキンシャサを留守にしているこの時期は、街中もゴルフ場もスッカラカンとなる。

そんなゴルフ場の朝8時。
ゴルフ仲間とプレイの約束をして、1番ホールに集った。

雨季中でフェアウエイに広がる水溜りを避けながら、和気あいあいとプレイを進めていた3番ホール、グリーン近くで、突然、何発かの発砲音が響いた。
それは確かにゴルフ場ほど近くから聞こえたものだった。
8時半過ぎ、9時前のことだった。

キャディーたちは耳を澄ませ、表情をこわばらせた。
銃撃音だ、とかれらはすぐに言った。
マダムたち、すぐにパイヨットに戻ったほうがいい。
パイヨットに戻って、情報を得ましょう。

見渡すと、ゴルフ客、キャディーも、そしてコースで作業をしていたキャディーたちもぞろぞろとパイヨット目指して引き上げているのが見えた。

いろんな情報が錯綜して、真実がつかめない。
どの情報も、ひとつの「噂としてのもの」、というカテゴラリーに入れて「疑問符」を付けて処理をしておくに留めておくことにする。
公務員の不満からのものだ、とも、警察官が政府決定事項を不服に思っての反乱だという情報も耳にした。
政治的野心を持つプロテスタントの牧師が放送局に仕掛けたものだ、という情報もキャッチした。

ともあれ、首謀者は分からないが、ゴルフ場近くのラジオ局、テレビ局からの発砲音らしい。
街中の道路も閉鎖され始めているとの情報も耳にする。

キャディーたちの尋常ではない脅えかたに驚くが、かれらは、2006年にゴルフ場近くで起きた銃撃戦の悲惨さを目の当たりにしているのだ。


日本人連絡網から自宅待機の連絡が入ったと夫からの電話で知る。
様子を見て、状況を判断して、一番安全だと思われるルートで速やかに帰宅する。
キンシャサ大通りは確かに交通量はまばらだったが、閉鎖箇所はなかったように思う。
沿道の住民がぱらぱらと少人数で集まって、心配顔で辺りを見守っている、という風情だ。

いつの間にか、雨が降り始めている。

道路工事現場にいる夫とも電話で頻繁に繋がる。
現場は危ない様子はないが、重機類を全部現場から引き上げて車庫に入れ、事務所を閉めてから、日本人スタッフと共に隊列を組んで引き揚げるから心配無用との連絡も受ける。

10時、11時と時間が過ぎていく。

我が家アパートから程近いところに大統領私邸があるが、その方角からなのか、あるいはその先にある大統領府からなのか、断続的に発砲音が聞こえてくる。
一時は、市内道路に戦車も配置されたようだ。

ラジオからニュースが流れてくる。
わたしレベルの仏語力では、伝える内容を聞き取れない・・。

ラジオからのニュースでは、テレビ局で人質を1人だとか2人だとか取って占拠されたと伝えているらしい。キンシャサのンジリ空港でも何名かの発砲犠牲者が出たそうだ。
コンゴ国内南西部の大都市ルブンバシでも発砲犠牲者が出たことを伝えているらしい。
防衛省でも銃撃戦があったらしい。

そのうち、政府スポークスマンから、謀反者は国民を動乱に陥れるために起こした事件であったと発表がある。。
政府は謀反者たちを強行的なやり方で対処したので、庶民たちは日常の生活に戻るように、と電波を通して国民を促していた。
この発表で、ずいぶんのキンシャサ住民が落ち着きを取り戻しただろうと想像できる。

強行的なやり方、というのは銃殺を意味するのだろう。
(後のテレビニュースで、放送局、空港、防衛省、そしてコンゴ南西部のルブンバシでも謀反者グループ40名ほどが銃殺されたと知る。)


耳を澄ますと、道路から車が通る気配がしてくる。
昼12時過ぎころだったろうか。
街が再び息を吹き返した、という印象だった。
キンシャサ、12月30日午前中3時間ほどの間に起きたクーデター未遂事件(と言えるのか?)だった。


そして、今、夕方6時,日没前。
我が家から聞こえてくる、人々の日常の生活音はいたって平穏だ。
これで、このクーデター未遂事件は幕を下ろしてくれたらいいのだが。


コトー通り我が家アパート前に建つアパート群



明日は、2013年の大晦日。
そして、明後日は、2014年、新しい年が始まる。


アフリカ大陸のいたるところで、きな臭い状況が勃発している。
民族の違い。宗教の抗争。天然資源の争奪。

国が平和に統治されることの難しさを考えてしまう。


2 件のコメント:

  1. 寛子さん、あけましておめでとうございます。
    のほほんとした日本からは考えられない緊迫した状況、、とはいえ、日本にいる私たちもいつどんな災害や事件に巻き込まれるかわからない状況下で、実は暮らしているのである。そんなことをしみじみ感じさせてくれるブログでした。
    いつもたくさんの刺激をありがとう。
    元気で無事に、また私たちのもとに帰ってきてくれる日を楽しみに待ってます。

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  2. 麻里子さん。新年明けましておめでとうございます!
    ブログへのコメントをありがとう。アフリカの人々は、自分たちの生活がぐらぐらした基盤の上に成り立っているのだという危うさを感じながら暮らしていて、今日と同じ明日が続くことの不確かさも知っている。わたしたち日本人の感覚では信じられない彼らの生き様を垣間見た思いでした。
    わたしたち日本人は、もっとしっかり自分たちの国を見つめていかなければならないのだとしみじみ思いました。
    しっかり目を見開いて生きたいですね。こちらこそ、いつもありがとう。
    今年もどうぞよろしくお願いいたします。

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