2013年6月8日土曜日

ンガリエマ浄水場拡張工事プロジェクト完成!

コンゴ河に突き出た取水管上の桟橋からンガリエマ浄水場を望む


完成予想図の赤点線囲み部分が今プロジェクト;ンガリエマ浄水場拡張工事プロジェクト・パンフレットより


私たちが住むキンシャサのアパートに、日本の建設会社の方たちが住んでいる。
かれらがキンシャサに駐在し、2011年7月から工事を開始した、”ンガリエマ浄水場拡張工事”が、6月初めに完了した。


この国の水道は、”RESIDESO”という水道局が運営している。
キンシャサ全体で一日50万トンの水が消費されるのだそうだ。
そのうちの8万トンが既存のンガリエマ浄水場で供給されていた。
そして新たに一日3万トンの水を供給するべく建設・設置されたのが、このンガリエマ浄水場拡張工事プロジェクトである。
日本国政府の無償援助プロジェクトだ。


浄化される一日11万トンの水は飲める状態でこの浄水場を出て行くのだそうだ。
我が家の水道水はこのンガリエマ浄水場からの水だ。
3階の我が家にたどり着くまでの水道管や水槽タンクが古いからなのだろう、我が家の水道水では水質が良くなったという実感は湧かなかった。
ところが、1階のアパート入り口の水道水をバケツに汲んでみて驚いた。澄んで透明な水なのだ。
それくらいに、ンガリエマ浄水場からの水道水は確実に水質が改善されたのだそうだ。


日本政府援助の浄水場の拡張工事プロジェクトが完成し、水道水の水質が大幅にアップしたことを、キンシャサのどれだけの住民が知っていることだろう。
わたしが参加するIWC(国際女性クラブ)で、そのような水道水の話題は一度も出たことはない。
わたしたちの水道水の水質がグンと良くなりましたよー!、とスピーカーで街じゅうに宣伝して回りたいくらいだ。


浄水場の建て屋~右の黒い管がコンゴ河からの取水管

右の建物が今プロジェクトで建てられた事務棟


 プロジェクト現場は、キンシャサの真ん中を走る6月30日通りのソシマット交差点から細いでこぼこ道に入り、800メートルほど進んだ突き当りのコンゴ河そばにある。

浄水場の門をくぐり敷地内を進むと、視界が一気に広がって雄大なコンゴ河が一望できる。
大河がちょうど曲がった内輪部分の河岸にある現場なので、河にせり出した半島のようなところに浄水場敷地が横たわっているように見える。
そんなオープンスペースの河岸に白とブルーの事務棟、浄水棟が建つ。

現場は人の目に付かない奥まったところにある。
だから、浄水場が新しく建設されたこと、そして水道水の水質が改善されたことがあまり知られていないのはしかたがない。

今日来たコンゴ人の仏語先生に、我が家の隣に住む日本の会社、日本の技術員たちが建設したンガリエマ浄水場拡張工事が完了したことを話すと、
「そういえば昨夜のテレビニュースで日本の援助で浄水場が完成したと言っていたわ。」
彼女はキンシャサのテレビニュースで知ったのだった。


日本の援助現場はどこも理路整然として、技術もすばらしい。
所長さんの方針で仕事環境を工夫して整えたプレハブ工事現場事務所にも感動したものだ。
わたしはかれらのプロジェクト現場を幾度となく訪れた。訪れるたびにスタッフの皆さんが歓待してくれた。

また、この浄水場から眺める夕陽の美しいことと言ったらなかった。
広大なコンゴ河の上に夕陽が赤く染まってゆき、いよいよコンゴ河上の地平線に沈むかと思うその前に夕陽は川の上空のもやにかき消されて見えなくなってしまうのだったが。


2012年 建設中の現場に沈む夕陽


そして、6月4日。
このプロジェクト施設をコンゴ政府に引き渡しする直前の多忙な時に、わたしは最後の見学をお願いした。
技術者の皆さんは、それぞれの持ち場で最後の点検に一生懸命に取り組まれていた。
まるで手塩にかけて育んできた娘を嫁に出す父親のような心境に違いない。
多忙な中を、所長さんと技術員のかたがわたしの見学に付き合ってくださった。


完成した、コンゴ河からの取水管、それに続く浄水棟施設は本当に素晴らしかった。



コンゴ河に突き出た歩行スペースの右下に黒い取水管が通っている

浄水棟の施設

浄水棟の施設


浄水システムは日本の様式で、機械装置はすべて日本の製品だ。
それ以外の建築資材はコンゴで調達したものだと聞いた。

浄水場を見渡すと、建て屋もコンゴ河との境界を囲んだ鉄柵も、白とブルーで統一され、とてもクリーンな印象を持つ。(どこの浄水場も白とブルーなのだそうだ。)


このプロジェクトに関わったすべてのスタッフの皆さんの2年間の活動が結集されて完成したンガリエマ浄水場の最後の見学を終え、わたしは大きな感動を抱えて帰宅したのだった。

この浄水場施設が、これから先ずっとコンゴ政府の手でキンシャサ市民のために適正に運用され、維持されていくことを願う。

ンガリエマ浄水場の事務棟玄関前に立つプロジェクトの碑

4 件のコメント:

  1. ついに完成ですね。
    水色、浄水場らしいですね。と同時にコンゴ民の色でもあります。
    いつまでも、市民に飲料水を届けてくれますように。
    隣人。

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  2. お隣さん!コメントをありがとうございます。
    白と青。この国の色なんですねえ。国旗には赤と黄色が入るから、爽やかイメージから離れて見えてしまいますが・・。
    ホントに。この浄水場からの良質な水がいつまでも市民に供給されますようにと心から思いました。

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  3. 初めまして!
    愛知県在住ですが、夫がコンゴ人です。
    貴重なナマのキンシャサ情報をいつも楽しみに拝見しています。
    最近あった大きな国際会議から、
    ようやく日本もアフリカへ目が向けられるようになった気がします。
    本当は、こうやって沢山の援助プロジェクトがあるはずなのに
    メディアで紹介されることが本当に少ないのが残念でなりません。

    きれいな水。是非、街中で宣伝をお願いします(笑)
    これからも楽しみに読ませていただきます!




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  4. naomikanさま、はじめまして♪
    嬉しいコメントをありがとうございます。
    はい!ンガリエマ浄水場からの水道水の水質アップを宣伝して回ります!!
    キンシャサ在住の日本人数十人の中で、どうわけか愛知県、岐阜県出身者が多いのですよ。
    日本から遠く離れたアフリカですが、アフリカに視線が注がれることはわたしもとても嬉しいです。わたしたち夫婦がキンシャサにいる間にアフリカを感じにいらっしゃいー、と友人たちに声を掛けています。
    女性の目線(主婦目線?!)で、キンシャサの日々で感じたままを綴っていけたらなと思います。ありがとうございます♪

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