2013年6月15日土曜日

危険はいたるところに

キンシャサ 6月30日通り

 わたしのブログは、旅ブログではない。
住環境を整え安全情報を受けながらキンシャサで生活し、その中で観たもの,感じたことをつづっている。ここでの今までの生活で、わたしは身の危険を感じたことはない。
でも、だからといって、キンシャサが安全な町だとは思わないでほしい。


先日、キンシャサ在留邦人の女性が、こう話すのを聞いた。

知り合いの若者がコンゴ民主共和国に来たいと言っているが、欧米の先進国を旅行するような気分でいるからとても恐ろしく感じた、と言うのだ。
また今月初めに、横浜でアフリカ開発会議が開催され、ずいぶんと日本人の目がアフリカの国々に注がれ、アフリカ旅行にも興味を持たれた人が多くいたのではと思われる。

でも知っておいてもらいたいことは、サハラ以南のアフリカの国々は、欧米の国々とはまったく違う。アジアの国々ともおよそ事情は違っている、ということだ。
旅を計画するときは、風土病対策、宿泊ホテルの周辺地域の治安、空港からホテルまでの交通手段、滞在中の移動手段などしっかりと現地の情報を集めてほしい。


キンシャサに旅をすることを考えてみると。

まず、知り合いにキンシャサ・ンジリ空港まで迎えに出てもらう、あるいはキンシャサの信用できる旅行社の送迎車を予約しておく、ということがない限り、ンジリ空港からキンシャサ中心部に出ることは非常に危険を伴うことを覚悟しておいて欲しい。
ヨーロッパ路線を飛ぶエアフランス、ブリュッセルエア、トルコエアのンジリ空港到着は夕方から夜にかけてだ。
それから、入国審査、黄熱病接種証明書提示カウンターをやっとの思いで通過し、無秩序,混沌とした人いきれでむせ返る荷物コンベアーの前で待機しどうにかトランクを受け取り、建物内部に入り込まんばかりに待ち構えるポーターの人たちを押しのけ、迎えの車に乗り込もうとするときにはすっかり夜から深夜になっている。
空港からキンシャサ中心地までの道路沿いは現地の人たちしか行かない混沌とした居住地域だ。そして辺り一帯、真っ暗だ。
そんな中を、タクシーに外国人独りで乗り込むのは、誘拐してくださいと言っているようなものだ。
外国人には乗り合いバス利用はまず無理だろう。
空港からの客を運ぶ電車などあろうはずはない。

空港からキンシャサ中心地までの交通手段からして危険極まりないのだ。

ホテルも地域周辺の治安状態を吟味するべきだと思う。
キンシャサ滞在中、あるいはキンシャサから旅に出るときの交通手段も、タクシー,乗り合いバス、長距離バスが挙げられるが、どれも外国人の利用には向いていない、と断言できる。

キンシャサ在留邦人は、乗り合いバスはおろか、独りでタクシーに乗ることも禁止されている。


6月30日通り。 黄色と青の乗り合いバス。 右横のバンも乗り合いバスだ。


町なかの歩行も禁止されているから、キンシャサに住むには自家用車と運転手は必須だ。
実際、キンシャサの町なかを歩いている外国人はまず見ない。

アフリカを熟知している日本人のライターが昨年、キンシャサの大通り、6月30日通りを歩いていて、一台の車が停まり、警察手帳をかれに見せ、警察の者だがパスポートを見せろ、と詰め寄って来たそうだ。パスポートはない、宿泊所に置いてきた、と言うと、ではそこまでこの車に乗ってお前のパスポートを提示しろと言い、拒否するかれを無理に車に引っ張り込もうとしたということだ。
かれは、今からちょうど日本大使館に行くことになっているから、大使館員に電話すると言って携帯電話を出したことで、警察署員を名乗るコンゴ人たちは退散したということだった。
この手口は何度か耳にした。

大通りではないところを歩行中に、「シノワ!」(中国人)、と叫んでとつぜん殴られた日本人の話も聞いた。

実際に、スーパーなどで買い物中に、「シノワ!」、「シノワーズ!」(中国人)と蔑むように罵られることがある。
在留邦人の女性は身の危険を感じて、日本の国旗のバッジを付けて外出しているということも聞いた。
日本のプロジェクトの車も、日本の国旗を車内の見えやすいところに取り付けたり、JICAのロゴの入ったプロジェクト証をフロントガラスの隅に張ったりして自己防衛している。

中国人がどうしてここまでコンゴ人に蔑まれるのかは、また別の機会に考えてみたい。


今日、日本大使館領事部から、注意喚起のメイルが届いた。
コンゴ民主共和国の地方都市で中国軍教官がコンゴ兵士を殺害したという記事が6月13日付の地元日刊新聞紙に載ったそうだ。記事には、中国人の非人道的行為に対する非難の言葉もあったらしい。
(中国軍教官が飼うリスがコンゴ人兵士の姿を見て驚き、逃げてしまった。それで教官がリスを捕獲するように指示したが、兵士はリスの捕獲に失敗した。その報告に激怒した教官は兵士を至近距離から撃ち殺した、という事件だったらしい。)
しばらくの間,当国国民の対中感情が悪化することが懸念されるので、在留邦人が中国人と間違われて襲われることを避けるため、危険を感じたら、早い段階で日本人であることを告げ,その場に留まることなく即、現場から離れるように、という内容だった。

わたしたちキンシャサ在留邦人は、個人で身の安全を守るように日々の生活で気をつけているし、日本大使館領事部やJICA担当官からも、キンシャサ治安情報メイルが届く。

また、日常生活で不自由を感じている同志として、外国人女性のグループの活動が盛んなのだとも思う。相互扶助の精神で、というか、友好の精神で、とても良い活動をするクラブが国際的なものとして2グループがキンシャサに存在する。(わたしはその中のIWC  International Women's Club に所属している。)

安易なコンゴ民主共和国への一人旅は、お勧めしない。
まだまだ、この国は、観光立国としては程遠いと感じる。

2 件のコメント:

  1. hiroさま
    そんな事が会ったですね...酷い事を
    前回視察した際、スルタニホテルにて現地の方に中国人か?
    怒り口調で言われ日本人ですと答えたらガラリ変わってナイスだねぇ~と気さくに受け入れて頂きました。

    それと、大日本土木の古波蔵さんにhiroさんの事を聞いたところお向かい住んで居られる方だと聞きました。
    私も23日に日本を発ちます。ご近所なのでお会いできましたら
    嬉しいです。
    何も解らない土地なので宜しくお願いします。

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  2. 中里様。コメントをありがとうございます。
    わたしの間の抜けたメイルが届いたでしょうか。
    てっきりわたしは中里さんがもうキンシャサに来られているものとばかり思っていました。
    来週には体調を整えておきます。我が家の真上に滞在されるとのこと。
    お会いできますことを楽しみにしています。

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