2013年3月17日日曜日

教会付属のクリニック

庶民の居住地区に建つプロテスタント教会

3月15日に、IWC(国際女性クラブ)が準備した寄贈品を持って、クラブ会員たちと共に、空港近くの貧民地区にあるプロテスタント教会を訪れた。

わたしたちを出迎えてくれたのは、韓国人の四十歳代後半くらいのソフトな印象の牧師さんだった。


このプロテスタント教会の敷地内に、一棟の古ぼけたクリニックが開設されている。
クリニックでは、産婦人科中心の診療を4人のコンゴ人医師と4人のコンゴ人看護士、そして1人の検査技師が勤務して運営されているそうだ。

クリニックは、キンシャサ中心街からずいぶんと空港寄りに進んだ幹線道路沿いの密集地区を左折し、さらに車で数分ほど入り込んだ、マッシーナという貧民地区に建っている。

空港近くに位置するクリニックでは、時おり飛行機発着の騒音に包まれるが、治療を受けるために待つ人々はとても穏やかな顔をしていた。



教会付属のクリニック Centre Medical MEAC



クリニックの受け付けのところに掲示された診療時間を見ると、日曜日も診療が行われ、朝、昼、夕方の3つの時間帯に分かれて日曜日のみ19時まで、それ以外は19時半まで開かれているのがわかる。
受付のところに掲示された診療時間


クリニック内の施設は古いけれど、しっかりと整えられていると感じた。

検査室のテーブル

診察室の医師たち



また、クリニックに入ったところに産科の分娩費用の案内が張られていた。

分娩費用の案内掲示

出産の費用は普通分娩(normal)で15,000FC(千五百円弱)、難産の場合20,000FC(二千円弱)と表示されている。
日本人の感覚では信じられない低料金だろうが、コンゴの国の貧民地区の女性にはこの料金でも大金なのだと思う。


この日、クリニックには4日前に出産したばかりの女性と女の赤ちゃんが入院していた。
初めての赤ちゃんだと言い、本当に愛おしそうに抱きかかえ、幸せそうな穏やかな表情の母親だった。

出産5日目の母子


また、クリニックの外には2人の妊婦が診察を待っていた。

2ヵ月後に出産予定の15歳の女性(左)と6ヵ月後に出産予定の24歳の女性

出産で命を落とすことがまだまだ多いこの国で、このクリニックでは受診代や出産費用を他の病院より安く設定して通院し易くし、女性の出産リスクを下げることに貢献しているのだと感じた。
実際、妊婦検診は1回500FC(五十円弱)なのだそうだ。
この日の彼女たちの検診は無料だということだった。

牧師さんが言われた。
妊婦たちは、お金がない、夫がない、知識がない。いろいろな問題を抱えて出産するのだと。

ここは、彼女たちにとって人生航路の”灯台”なのだろうなあ。



生後5日目の赤ちゃんは、この日IWCから贈られた体重計で計測すると、3600g弱だった。
母親はわが子の体重を知ると、とても満足そうにしていた。


IWC寄贈の新生児用体重計


ある病室内では、1人の老婦人が点滴を受けていた。
ここは朝来て入院し、夕方になると自宅に戻るという形式の入院なのだそうだ。

クリニック内の受付そばの長椅子には、骨折した青年のほかは、老婦人が数名、そしてクリニック外の長椅子に妊婦2人と、子どもや女性たちが診察を待っていた。

ふとクリニックの庭に目を移すと、出産5日目の母親が洗濯して干している。手厚く看護される日本の妊婦さんとは大違いだ。


わたしたちは、ひと通りクリニック内を案内されたあと、寄贈品を車から出して、ベッドなどの組み立てに入った。

寄贈のベッドを組み立てるIWC会員たち
病室内に運び込まれた寄贈ベッド


簡素だが新しい7台のベッドが運び込まれた。

また、分娩室にも新しい分娩台が入った。


新しい分娩台を組み立て中
看護士だったIWC会員が分娩台の取扱説明をする



クリニックの庭には、今まで使われていた分娩台、ベッドが運び出されていた。
今までのお役目、ご苦労様。


庭に運び出された古い機具




クリニックの外の長椅子におよそ病人らしくないはつらつとした女性の一団がいた。
彼女たちは教会員で、IWCメンバーが寄贈品を持って訪問すると聞いて、賛美歌を歌って返礼するために集まったのだということだった。
アフリカの女性たちのはじけるようなダイナミックな歌声に耳を傾けていると、彼女たちの真心がずんずん伝わってくるようだった。

笑顔はじける合唱隊マダムたち



IWC団体がどのようないきさつからこのプロテスタント教会に寄付することを決定したのか、また寄贈品目の選定がどのように行われたのかは役員ではないわたしには分からない。

でも、クリスマスバザーの収益金がこのような形で役立てられることをうれしいと思うし、IWCのメンバーであることを誇りに思った。

このクリニックが、空港に近い密集した貧民地区の人々の心のよりどころとして、良い診療活動を続けられますように、と心から祈って帰途に着いた。

2 件のコメント:

  1. こんにちは。(でよいのでしょうか?)
    むず。です。

    先日、3/8の国際女性デーに関連してか、BSで、
    「塀の中の“自由”~アフガニスタンの女性刑務所~」
    という番組が放映されてました。
    今まで自分がそうであると信じている価値観?とは全く
    異なる価値観の世界で生きている人々(女性)を見て
    衝撃を受けましたが、アフリカでもまだまだ紛争が
    続いていて、女性や子供を含めて沢山の人たちが大変な
    状況にあるのですね。

    できる範囲で何かできないかと考えてもなかなか難しい
    ですが、hiroさんのブログを拝見して、知ることも大切
    だなと考えさせられました。


    ところで余談ですが、う~にゃ@ヨウムですが、簡単に
    腕には乗りませんというか触らせることすらできません。
    自分の気が向いたときだけで、いやな時は噛みついて
    流血の惨事になります(ーー;)
    それからケージの中に手を入れるなんてこともとんで
    もない!!
    テリトリーではより強気です。(但し夫はきつく叱って
    しつけたので、夫には噛みません。。。)
    ですのでhiroさんもご安心?下さい(笑)

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  2. むず。さま
    こんにちは。(キンシャサ時間は、日本より8時間遅れです。)
    コメントしたつもりがなかったのでもう一度。

    世界にも、そしてわたしたちの国の中でさえ、知らないことがたくさんあります。
    わたしはいつも、「見ようとしなければ見えないんだよ。」といつも心に留めて心のアンテナを張っていたいと思っています。難しいことですが、知ったことを皆で共有していけたらいいな。

    さて。
    むず。さんのヨウムもマイペースというか野性味たっぷりですね。ちょっと安心。アフリカで傷を作ることが怖くて、ぽんからつつかれたり噛まれそうになるだけでびくっとします。まるで家庭内暴力の子どもに怯える母の様相で、情けないこと極まりないです。爪は獣医さんに切ってもらっているのですか?
    それから、ベルギー人マダムから、夜寝るときはケージに布を被せてあげてね、と聞きました。街の市場の行商マダムから赤いハート模様のテーブルクロスを買って、夜寝るときにケージに被せているのですが、ぽんは布をかぶせても素直に受け入れている風です。布地を突いたり破ったりすることもなく、朝まで静かです。人間も野原に野宿するより、テントの中で寝たほうが安心感ありますよね。
    寝るときはどうされていますか?
    いろいろ聞きたいです。
    では!

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