2012年12月27日木曜日

ンガリエマ修道院お御堂のクリスマスイブミサ

クリスマスイブの夜のお御堂 側面

12月24日午後8時半にンガリエマ修道院横にあるお御堂で、厳かに質素にイブのミサが始まった。


今夜は、正面祭壇の前にマリア様とヨゼフ様が馬小屋の中で羊たちとともに鎮座している。

正面左右、お御堂中央部の左右にはいつも通り、石膏のイエス様像、マリア様像が静かに穏やかな表情でわたしたちを見下ろす。はるばるローマから運ばれてきた像なのだと聞いたことがある。
植民地時代のしっかりした建造物の修道院だ。
ずいぶん長い間、ここで信者たちを見続けている像なのだと思うと、さらに尊く見えてくる。

祭壇後部の左右の棚には白いレースの布が敷かれ、その上の花瓶には庭に咲く南国特有の花が飾られている。
シスターたちが日々大切に手入れされるお御堂の美しさは清々しい。
中村寛子シスターが、わたしはここの祭壇が大好きなんです、と言われていたことを思い出す。
正面の壁の大きな十字架は木製のシンプルな十字架だけのものだ。
手前右端には大切に手入れされた古いオルガンがあり、コンゴ人男性が座っている。
お御堂内は、それだけだった。

お御堂内に据え付けられた木の机と椅子には、ぱらぱらとしか参列者はいない。
ンガリエマクリニック敷地内にあるお御堂だからか。
手術室の看護士なのだろうか、手術着らしきままで参列している女性もいれば、頭に傷を負い、腕にギブスをはめたままの患者らしい女性もいる。そう考えると、病院に関係した人たちなのかなとも思える。
確かにお御堂前の駐車場には車はほとんどない。


質素で静かなお御堂に、周辺からのかえるの鳴き声だけが聞こえてくる。
暑い。
ここはアフリカなのだと思う。

時間前に、おそろいのアフリカ布地で作られたブラウスとロングスカートに、薄手のスカーフで頭を覆い、胸にフランシスコ会シスターたちの十字架ペンダントを下げたアフリカ人シスターたちと、ローマから派遣されてここで奉仕する外国人シスターたちが静かに入場し、お御堂前部の椅子に座る。聖書や聖歌集など2,3冊を抱えて入場するシスターもいる。

わたしたちは、出迎えてくださったポーランド人シスターが導いてくださり、すでに中央あたりの椅子に座っていた。
机の上には、いくつかの聖歌の譜面と歌詞のプリントと、そしてイエス様誕生の物語のプリントが置かれている。
聖歌の歌詞は、リンガラ語のものもある。

いよいよ時間だ。
オルガンが鳴り渡り、外国人神父様が襟元に刺繍がほどこされている白装束姿で後ろから登場する。
手には白いレース布地で包んだ赤ちゃんのイエス様人形を掲げている。
神父様は祭壇の数段の階段を上がり、馬小屋の飼葉桶にそっとイエス様を置かれた。

神父様の祈りも、シスターが朗読する聖書の言葉もさっぱり理解できず耳を素通りしていくが、息子が通っていた暁星のお御堂でのクリスマスミサを思い起こして重ねてみる。
アフリカの聖歌はやっぱり明るい。
アフリカ人シスターたちは手拍子(全てが4拍子だ)し、オルガンのほかに、タムタムと団子三兄弟のようなコンゴマラカスと金属の打楽器が入る。神父様も緩やかに手拍子されている。
手でしぐさを作るということは、人間の自然な感情表現のように思える。
わたしが大好きな聖歌 ”今宵、イエス様がお生まれになった”を楽しみにしていたが、この聖歌は聴けず残念だった。初めて聴くリンガラ語の聖歌もあった。”聖しこの夜”、”荒れ野の果てに”はわたしも一緒に歌う。
声に出して「歌う」と、なんだかマリア様やイエス様も喜んでくれているような気分になる。
「神に賛美」とはこういうことかな。
信者ではないけれど。

そして祈りの中で、いよいよイエス様がお生まれになったという場面で周囲の人たちと祝福の声を掛け合う。
信者ではないわたしと夫は、いつものことながら戸惑うところだ。

世界中で地球が回って12月24日の夜を迎えた土地の教会で、イエス様の誕生を祝福するミサが順々に行われていく。
24日から25日にかけて、約48時間、それぞれの風土に育ったやりかたで祝福のミサが続くのだ。
そんなことを、二千年も前にマリア様やイエス様は想像されただろうか。
不思議だなあとあらためて思う。


そうしてミサは終わった。
終始、アフリカらしい厳かな雰囲気だった。

夜10時になっていた。
お御堂の出口のところで、ポーランド人シスターが、Joyeux Noel!(クリスマスおめでとう!) よくミサに足を運んでくれましたね、と声をかけてくださった。
他のシスター方も、”Hiroko!” と声を掛けてくださる。
中村寛子シスターと同じ名前。わたしたち、同じ名前だから「ンドイ、なのよ。」といろんなシスター方に紹介してくださった。寛子シスターが繋いでくださったご縁を嬉しく思う。

あまりに厳かで質素で静かなアフリカの夜のクリスマスミサ。
カメラを向ける気にもなれなかった。
冒頭の写真は、申し訳程度に、お御堂から出て車に乗り込んでぐるっと回った時に、側面からそっと撮った一枚だけの写真だ。

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