まだまだ雨季の続くキンシャサだ。
昨夜も遅くから激しい雷雨で、ゴロゴロ、ピカピカ。
幼い時は雷が心底恐かった。
ピカ!っと光って即ゴロゴロー!!!っと鳴ったら、雷様はすぐ近くに来ているんだよと母は言った。
稲光と音の時間差があると、あ、これはまだまだ、雷様は遠くにいるから落ちてこないし、おへそも大丈夫だ、と太鼓判を押すかのように言い切ったものだった。
それがだんだん、ピカッ、即ゴロゴロッ、ドーン!!!、となるとさあ大変。
タオルケットに汗びっしょりになって包まって体中を(特におへそを)隠したものだった。
そうして息を潜めて、雷様が無事に通過するのを待つだけだった、遠い夏の日。
昨夜は、そんな子どもの頃の「かみなりさま」を思い出すような、ものすごい稲光と雷鳴だった。
時々、ドッカーン!!!!!、と窓ガラスを揺るがすような爆音が響くと、やっぱりびくりとしてしまう。
最近、知人宅で家電に落雷し、火を噴くという事故が起きたばかりだし。
ここのおんぼろアパートには絶対、避雷針とか備え付けられてないよなあ・・と不安になったり。
蚊帳に入っていたら決して雷は落ちてこないよ、と言っていた祖母の言葉を思い出したり。
(幸いなことに、キンシャサではベッドに蚊帳を吊って寝ている。)
十日前の土曜日にも、一晩中、激しい雨が降り続き、翌朝、日本大使杯ゴルフコンペが予定されていたのに、キンシャサ・ゴルフクラブのゴルフ場は、18コース中、15コースが浸水してプレー不能状態になった。
いたるところに広い池が出現し、ゴルフ場に生息する白い鷺のような鳥が水辺で憩ったりして、まるでアフリカ版チャイコフスキー「白鳥の湖」風情であった。
そんなじめじめしたゴルフ場フェアウエイに、「河合の白い肝油ドロップ」をばら撒いたかのように、小粒の白いきのこがあちこちに顔を出した。
どのキャディーも、このきのこは食用で美味しいんだよ、と口を揃えて言っていた。
ふ~ん。
一度食べてみたいものだ、と思っていたら、一昨日、ひとりのキャディーがスーパーのビニル袋2袋分いっぱいにその白いきのこを摘んで持ってきた。
2袋分で5ドル払って入手した。
ザルに移して水洗いしたら、きのこの笠が開いてしまった。 |
一本一本を見やすくすると、こんなきのこだ。
採れたては白くて笠が丸い |
このきのこを4等分してジップロック(なんとキンシャサのスーパーで購入可!)に入れて3袋を冷凍した。
そして一袋分のきのこで野菜たっぷりのトマトスープを作った。
トマト缶一缶を入れたけれど、トマトの赤い色がしっかり消えてしまって、茶色のスープになるくらい旨味が出て、きのこの風味たっぷりのスープができた。
クツクツ煮込んで、ご飯にかけて食べたら、う~ん!!ホッペが落ちんばかりだった。(ホント!!)
今朝、まだ雨が残っていたが、ゴルフ場に行くときのこキャディーと出会った。
食べてみたか、味はどうだったか、と訊いて来た。
美味しかったー!!と言うと、また持って来ようかと言う。
この白いきのこの名前は何?
”Chanpignon blanc !”(仏語でそのまんま、”白いきのこ”)
え? ”白いきのこ”、ってなによ。特別な名前はないの?
”知らない”
じゃ、リンガラ語では何と言うの?
”Mayebo ya pembe !”
何のことはない、リンガラ語でも「白いきのこ」なのだった。
雨季の11月、12月、1月の3ヶ月のみ賞味できる”白いきのこ”。
我が家で冷凍したきのこが美味しくいただけるようなら、あと1ヵ月半の間にしっかりストックしたいなあ~。
20年前の中央アフリカ共和国滞在時にも、夫がよく雨季の現場、ボッサンベレから持って帰っていた大きな大きな白いきのこがあった。
現地の言葉、サンゴ語で、「ゴゴチ・ボボ」と言った。
日本の”エリンギ”みたいに白くて石づきが太く、笠の部分はもっと広がっていた。
長さだって30cm、笠の直径も開くと30cmはあったが、笠が開いてしまうと、ひだの中にウジを産み付けるから、笠が開き切る前のゴゴチ・ボボが良しとされていた。
我が家のボーイ、フランソワおじさんはバターでソテーしてしっとり焼いてくれて、それはそれは美味しいきのこ焼きを味わったものだった。
雨季、ってじとじとして雨が降ると道がぬかるむし、怖いくらいの雷雨だし、雨が降るだけ降ったら一つの雲も消え失せ、ギンギラの太陽が照りつけて暑さも容赦ないしなあ・・・と恨めしく思っていたが、こんなに美味しい「白きのこ」を育んでくれるんだもの。
雨季のオマケに思えてくる。
現地の、季節の食材を発掘するのもまた楽しい。
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