2012年9月1日土曜日

通勤電車が行く


ポワルー道路から見える通勤電車

日本の援助で道路舗装補修工事が行われている、キンシャサ市内の東部を走るポワルー道路(Poids Lourd / 仏語で”重い重量”という意味)に沿って、1本の鉄道が通っている。

その鉄道の本線を、貨物列車がはるか遠くバコンゴのコンゴ河下流、マタディーMatadiまで走っているということだが、わたしはその貨物列車を見たことがない。
どういう運行状況なのか、わからない。
距離にして300kmの道のりを毎日1便運行されていて5時間ちょっとかかる、とは夫の事務所のコンゴ人事務員の話だが、夫は現在そんなに運行されていないはずだと言う。

以前は、海運で船が大西洋からコンゴ河を遡りマタディーまで運ばれ、陸揚げされた貨物は、そこで鉄道に積み替えられてキンシャサまで運ばれてきていたのが、今ではマタディーからトラック輸送に代わったようだ。
実際、大きなコンテナ車を積んだ大型トラックが走行するのを頻繁に見かける。鉄道管理は費用がかさむということなのだろう。
(マタディーには、日本の援助で建設された全長約1kmほどのつり橋が架かっている。関門橋のようなつり橋だそうだ。)

そして、ポワルー道路脇を走る鉄道の支線(マタディーまでの鉄道を本線と見るならば、支線は中央駅から出発して7km地点のUzamで本線と分岐してンジリ空港方面へ向かう)のほうは、キンシャサの中央駅とンジリ空港近くのキンシャサ郊外を結んで、通勤電車が毎日、朝夕だけ各2往復しているのだそうだ。
その沿線は、現地の人々が暮らす郊外の新興住宅地となっていると聞く。


ポワルー道路沿いの駅に停車中の通勤電車

”1898.3.16 ニコラス機関士によって運転された最初の機関車がンドロ駅に到着して百年になる記念碑”と記されている~ンドロ(Ndolo)駅構内に立つ

道路と鉄道を仕切る広告壁の向こうの高台を通勤列車が走る


すぐ上の写真は、カラフルな看板広告の向こうを朝の通勤列車が通過しているところだ。
朝7時前だったが、中央駅に向かう列車は長く連結され、通勤客で満員だった。
わたしが車からカメラを向けると、電車の乗客から、「写真を撮るなー!!」と怒鳴られた。

中央駅~ンジリ空港付近の駅の間は、約20kmくらいだろうか、途中に数箇所の停車駅があるようだ。所要時間は約1時間だという。
重要な通勤の足だ。
その後、午前9時半頃にもう1本の電車が通過するのだそうだ。

中央駅はキンシャサ市内のメインストリートである6月30日通りの起点にある。というか、6月30日通りは、中央駅のすぐ前から始まっている、と言ったほうが的確かもしれない。
中央駅は、一見するとそこそこの建物だ。
建物正面には、立派な長距離旅客列車の車内のカラー写真の看板が掲げられている。
ところが、駅建物の入口には鍵がかかって入れない。ガラス越しに内部を覗くと、廃墟に近い状態だった。
中央駅の入口扉はいつ開くのかと訊いたら、中央駅の建物はすでに使われていないから、いつも鍵がかかっているのだという。
夫の話では、駅ホームの傍に、古い機関車が置かれて展示されているそうだ。
証拠写真を夫からもらった!

中央駅ホーム傍に展示される機関車

建物に鍵が掛けられて入れないから、外から直接中央駅ホームに出入りする門がある。
外観だけ見事に取り繕うコンゴ人のしそうなことだ。
キンシャサ中央駅の建物はもぬけの殻、だった。

キンシャサ中央駅ホーム
キンシャサ市内には、明らかに使用されていないと分かる、土中に埋もれかかった線路が道路を横断していたり、工場敷地内に入り込んでいる線路を見かけたりする。
工場へ運ばれる原材料を運ぶ貨物列車のための線路だったかと思われる。
キンシャサ市内に残る古い鉄橋に”1950何年かに建設”と記されたものがある、とは夫の話だ。ということは、植民地時代にベルギーが敷設したものということか。

ポワルー道路の、通勤列車が走る鉄道の反対側には工場群が連なっているが、その各工場内に鉄道の入り込み線が延びている。工場群に沿って、そしてポワルー道路に沿っても平行に走るその鉄道は大半が土中に隠れそうになっているが、ポワルー道路の拡張工事に伴って、その鉄道の撤去作業が行われていた。
鉄道撤去後の線路で、敷石の石ころを一生懸命集めている人々がいた。その石ころたちは集めて売るとお金になるのだそうだ。

キンシャサ市内地図を広げると、古い線路も表示されていて、いかにキンシャサ市内に貨物線路が張り巡らされていたかが分かる。
鉄道も海運も、国営オナトラ社が運営されていたと聞く。
中央駅からみて6月30日通り沿いの左側にひときわ大きくがっしりした薄茶色レンガのオナトラ社本社建物がそびえ立っている。
現在も、どうにかオナトラ社によって運営されているが、国営ではなくなったようだ。
一昔前のように、キンシャサ~キサンガニ間の定期船が運航され、中央駅~マタディー間の鉄道も機能する時代が来て欲しいものだ。

2 件のコメント:

  1. 通勤電車があるとは知りませんでした。
    水色に赤と黄色のライン、かっこいいですね。

    清水

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  2. たまたま青色の車両がかっこよく写っていますが、オレンジ色の錆びた古い車両も連結されています。
    朝7時頃に、中央駅からポワルー道路に入って進んでいると、右手に通勤列車が通過するのを見られるはずです。
    車両は思いのほか、満員ですよ。

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