2012年7月16日月曜日

セミがいない!!


我が家ダイニングのベランダからの風景

キンシャサゴルフ場には大木も池もいっぱい
 南フランスに住む娘が、何日か前のブログに、”今日も朝から鳥のさえずりとともに、セミのにぎやかな声が鳴り響いています。”
と書いていた。
それを読んで、いつも頭をかすめる、ある思いが浮かび上がってきた。

キンシャサに来て、ずーっと不思議に思っていたことがある。
常夏の国だというのに、蝉の鳴き声を聴かないのだ。

蝉がいない!!

これだけ木がたくさんあるのに!!、だ。


ゴルフ場には大木が並び、いろんな鳥のさえずりが聴こえてくる。
白い鳥、青くて小さなきれいな小鳥、すずめの小型でいつも群れを成している、リンガラ語で”ビュンジ”(ビュジ?)というかわいい小鳥。
もちろん一回り小さいカラスもいる。

それからゴルフ場には、モンシロチョウ、モンキチョウもいるし(今日もモンキチョウがひらひら飛んでいた。)、トンボだっている。

大使夫人の話では、公邸庭にはうるさいほど蛙の鳴き声が聴こえるそうだ。(わたしは残念なことに聴いたことがない。)

でも。

セミがいない。

家政婦のフロランスに聞いてみた。

セミ、”la cigale”、知ってる?
知ってるとも! (ちょっと怪しい・・)

じゃあ、キンシャサにセミっている?
ン~ン、いると思うよ(自信無げ・・)。 fourmi(蟻)の大きいやつで地面を歩くやつでしょ。
違う違う。これくらいの大きさで、木の幹にくっついてジージーと鳴く(南仏のセミはジージーと鳴いていた。)虫で、決して地面を歩かないよ。

 フム・・・(思案顔・・) 今日、夫に訊いてみるから待ってて。

そして翌日。
彼女の答は、「いるよ。」だった。
「それは、リンガラ語で”ケレレ”と言ってね。リーンリーンと夜鳴く虫よね。マダムの大嫌いな虫と同じ色してて。」

彼女の言う虫は、きっとこおろぎか鈴虫か、だろう。

で、フランス語の先生に訊いてみた。
"cigale"という単語は知っているけど、キンシャサにはその虫は多分いない。
そう言った。

運転手にも訊いてみた。
"cigale"という単語からして知らない風だった。

ということで、少なくともキンシャサには、蝉はいない、のだろう。




プロバンス柄の布地たち





上の3枚の写真は、南フランスのプロバンス柄の布地だ。
これら、プロバンス柄は、セミをモチーフにしていると聞いたことがある。
わたしは、このプロバンス柄が大好きだ。

南フランスでは、「セミは幸せを運ぶ虫」、と言われている。
実際、南フランスを旅すると、陶器でできた大小様々の壁掛け用のセミが土産物店で売られているのを見かける。日本の我が家にも2つの陶器製のセミが壁に掛けられていて、わたしの宝物だ。


7年前の夏、8月12日の夜、日本の自宅マンション通路で、わたしは、セミにうるさくつきまとわれ、逃げまくった挙句にすっ転んで、転倒。通路突き当たりの水道メーターなどの入っている鉄扉に激突した。その夜、病院でみかん大の脳腫瘍が見つかった。
幸いなことに良性のものだったが、出来ている場所が微妙なところだった。
だからこそ自覚症状が全く無く、もしセミに追いかけられていなかったら、更に発見が遅れていたことだろう。
幸運は重なり、信頼できる脳外科医と整体師に出会い、無事に手術を受け、何の後遺症もなく、今ではゴルフを毎週楽しんでいる。

あのころ、周囲の者たちから、よく言われた。あのセミはわたしの亡き母だったのかもしれないね、と。

それから、毎夏、8月半ばになると、我が家のベランダに必ずセミがやって来た。
マンションを引っ越しても、セミは迷うことなく、大きなオリーブの鉢植えのあるベランダに来た。


”セミ”の話から、あちこちに話題が飛んでしまったが、セミにまつわるわたしの思い、だ。

今夏は、キンシャサにいるしなあ。
しかも、キンシャサにはセミはいないっていうことだしなあ。

今年の8月は、セミに再会できないのだろう。
ちょっと寂しい気がする。

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