今まで、20000コンゴフラン新紙幣のカンムリヅル、コンゴキリン。1000コンゴフラン新紙幣のオカピ、ヨウム、100コンゴフラン旧紙幣のマルミミゾウ、50コンゴ旧紙幣の川魚について書いてきた。
ではまず、5000コンゴフラン(おそらく以前から存在した紙幣)の図案から始めよう。
すぐ下の写真はホロホロチョウと、コンゴ料理のリボケ、シクワンガが描かれている。
ホロホロチョウはアフリカ大陸に分布する食用鳥だ。滑稽な様相と体の水玉のような模様がおもしろくて装飾用置物のモチーフに使われたりする鳥でもある。
ホロホロチョウと一緒に描かれているのは、代表的なコンゴ料理のリボケ(単数形でリボケ。複数形はマボケというらしい。)とシクワンガだ。
「リボケ」は、大きな葉に川魚、アンティロープ、赤道州のほうでは蛇などの動物性たんぱく質を使い、トマトなどの野菜と共にスープストックなどの旨味成分と塩味を加えて調味し、紐で結わえられて蒸し煮のあと、火にかけられて蒸し焼きされる。
紙幣に描かれたものは、蒸し焼き中のマボケたち(複数)だ。
紙幣に描かれたものは、蒸し焼き中のマボケたち(複数)だ。
そばにゴロンと転がっている、「シクワンガ」は、現地の人たちの主食、マニョックを練って大きな葉に包んで蒸された、日本の”ちまき”のような食べ物だ。リボケのスープをつけながら食べるとなかなかイケル。
ホロホロチョウを傍に持ってきたところを推測すると、このリボケのホロホロチョウ入りも美味しいですよ、というメッセージにも受け取れる。(ような気がする。)
シマウマと言っても、よく観ると、縞の幅が太いのが分かる。
これは、グランドシマウマの中の、アッパーザンベジシマウマという種類のように思われる。
コンゴ民主共和国、アンゴラ、ザンビア西部の限られた地域に棲息する種類だということだ。
さて、次に10000コンゴフラン紙幣の中の動物を見よう。
新紙幣のこの中には、バナナの木とバナナ(普通のバナナは規則正しい方向性を持って、ずらっと下に房が並んでいる。これは料理用のバナナであるバナナ・プランテのように思われる。)と、くちばしの長い、そして尾も長い、黒っぽい小鳥が描かれている。
最初、わたしは、この鳥はハチドリだろうかと思っていた。中央アフリカのバンギには、胸の部分が赤と青の美しい毛を持った体の真っ黒の、そしてくちばしが長い、小ぶりな体の小鳥が、我が家のアパート周辺のマンゴの木によく集まっていた。
この紙幣のイラストだけでは真っ黒なのか、或いは色が入っているのかはわからないが、おそらく”タイヨウチョウ(サンバード)”の一種だろうと思われる。
タイヨウチョウについて調べてみた。
”アオノドタイヨウチョウ”
スズメ目タイヨウチョウ科。全長14cm。
カメルーン南部からコンゴ民主共和国、ウガンダの一部まで分布。
森林、河辺林、木々の茂る庭園などに棲む。
全体はほぼ黒色で、喉と額のみ、緑色の金属光沢をもつ。
”ニシキタイヨウチョウ”
タイヨウチョウ科。全長14cm。
西アフリカ南部からコンゴ共和国北部までの熱帯雨林からサバンナに分布。
頭部から胸にかけて緑色に青紫がかり、胸に赤い太い帯がある。腹部と翼は黒い。
頭部から胸にかけて緑色に青紫がかり、胸に赤い太い帯がある。腹部と翼は黒い。
”ブロンズオナガタイヨウチョウ”
タイヨウチョウ科。全長22cm。
ケニア、ウガンダ、タンザニア、アンゴラ、ジンバブエの1000mから2800mまでの山地の常緑の森林の林縁部や、隣接する草地に断続的に分布。
日光を浴びると、緑から金色の金属光沢が現れる。
全身は黒色でくちばしと尾羽は長い。
これらのどれかではないかと思うのだが、どうだろう。
全身は黒色でくちばしと尾羽は長い。
これらのどれかではないかと思うのだが、どうだろう。
10000コンゴフラン新紙幣裏:タイヨウチョウと、バナナ |
10000コンゴフラン新紙幣表:水牛と、木彫り民芸品 |
片面には、水牛が描かれている。この水牛もコンゴ民主共和国に棲息する特有種なのだろうか。
動物の絵ではない紙幣のイラストとして追記すると・・・。
200コンゴフラン紙幣(旧)には、必ず一村に一台は設置されていたという情報伝達用の伝令太鼓(LOKOLE)をたたくコンゴ人の姿。
片面には、くわを持って農地を耕す青年と若い女性の農作人”L'AGRICULTURE”の姿だ。
手前に、胸に当て布をし、腰にパーニュ(腰巻)を巻いている若い女性が描かれている。
我が家の家政婦は、おそらく夫婦だろう、そして赤道州の米作農地だろう、と言うのだが、彼女の推理は当たっているか。ともあれ、この若い農作人の姿にこの国の希望を見る思いがする。
200コンゴフラン紙幣 裏表 |
500コンゴフラン紙幣(旧)には、この国の主要輸出鉱物の一つ、ダイヤモンドの採掘風景とカットされたダイヤモンドが描かれ、片面にはどこかの村落の様子が描かれている。
500コンゴフラン紙幣 裏表 |
また、同じ500コンゴフラン紙幣には、独立50周年記念紙幣もある。
この国の独立は、1960年6月30日だから、この50周年500フラン紙幣はおそらく2010年発行のものだろう。
これには、コンゴ河の河口から約150km上流、アンゴラとの国境近くに位置する港湾都市マタディMatadi港が描かれる。
片面はというと、何故だか、"pont de KINSUKA"と小さく説明書きが添えられた橋の図案が載っている。何の変哲もない、普通のコンクリート橋に見えるのだが、何か、50周年紙幣に採用されたにふさわしい意味合いがあるのだろうか。
500コンゴフラン独立50周年紙幣 マタディーMATADI港 |
500コンゴフラン独立50周年紙幣 キンスカKINSUKA橋 |
以上、コンゴフラン紙幣に描かれた動物たちを中心に見てみた。
川魚(50CF)、マルミミゾウ(100CF)、ヨウム、オカピ(1000CF)、ホロホロチョウ、グランドシマウマ(5000CF)、タイヨウチョウ、水牛(10000CF)、コンゴキリン、カンムリヅル(20000CF)。
マウンテンゴリラとボノボが描かれていないのは寂しい気がするが、いつかの登場を楽しみに待ちたい。
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