2014年6月4日水曜日

コンゴ民主共和国の象徴と、”ようこそ”の言葉

数日前、”ばーちゃわーるど”というところ(グループ?)から、コンゴ民主共和国の言葉で「ようこそ」はどう言うのか、そして、この国を象徴するものとして何が挙げられるか、という質問がわたしのブログのメッセージ欄に届いた。

一昨年10月にキンシャサで開催された「仏語圏会議」の時にメイン通りに大きく掲げられた歓迎広告には、”mbote”(「e」の上にはアクソン記号が付く)の言葉が使われていた。

”mbote”(ボテ)
仏語の”Bonjour”(こんにちは)に当たるリンガラ語だ。

(この国の公用語はフランス語。国語として、リンガラ語、スワヒリ語、チルバ語、そしてキコンゴ語の四国語が使われる。首都のキンシャサでは、市民はリンガラ語を話す。)


2012年10月 仏語圏会議開催のキンシャサの大通りに掲げられた歓迎広告

上の写真からも分かるように、ニコニコマークと共に、”mbote(「e」にはアクソン記号)”、リンガラ語でボンジュールの意味の「ボテ」の言葉を大きく掲げて、会議に参加のためにキンシャサ入りした仏語圏の世界各国からの政府要人をお迎えしたことを思い出した。

リンガラ語に、”welcome”,とか”vienvenu”という「ようこそ」に匹敵する言葉はないのかなと思って夫の運転手に尋ねてみた。
すると、初対面の人に対して「ようこそ」というときには、”oya malamu”(オィヤ マラムゥ)というリンガラ語がある、と説明してくれた。

”oya malamu”(オィヤ マラムゥ)
リンガラ語の「ようこそ」という意味のこの言葉はよく使われるのだそうだ。
(この国の四国語は、独自の書き言葉は存在せず、すべてアルファベットで表示される。)


さて。
では、この国の象徴となるものとは一体なんなのだろうか。
お客様を囲んでの我が家の夕食会でその話題となったとき、わたしは、コンゴにしかいない”ボノボ”(人に一番近いと言われる猿)だと思うと言った。
でも、他の人たち(日本人!)は、コンゴにしかいない珍獣のオカピだと言う。
あれこれ話し合って、結局、「コンゴ民主共和国の象徴はオカピだ。」という結論に達したのだった。

その話を運転手にすると、かれは間髪入れずに
「レオパード、豹だ。」
はっきりとこう言ったのだった。

なるほど、昨年末にキンシャサ中央駅前の噴水のところに立った、リヨロさん制作の二体のブロンズ像は、やはり豹だったなあと思い浮かべてみる。


コンゴ人彫刻家Liyolo作の豹、レオパードのブロンズ像

一方、ザイール時代の悪名高きモブツ大統領がレオパードの皮の帽子をかぶり、レオパードの皮の椅子に座っていた写真も思い出された。

運転手はさらに言った。
前大統領のカビラ・ペール(父親)はライオンが好きだったけど、現大統領のカビラ・フィス(息子)はまたレオパードが好きなんだ、と。
ほら、コンゴ政府の紋章にもレオパードが表されているでしょう。
そういって、フロントガラスに表示されている夫たちのプロジェクト証を指した。
なるほど。


コンゴ政府の紋章


しかし、なんだかなあ。
国の象徴がレオパード、というのはモブツ前大統領とか、カビラ現大統領とか、ちょっと政治絡みの象徴のようでしっくり来ないなあ。

例えば、日本の象徴といえば、富士山とか桜とかがイメージされるのだけど、動物以外でこの国の象徴、ってないかなあ。
運転手は、”コンゴ河Le fleuve”と、”椰子の枝Le rameau”と、そして、上の政府紋章にも表されている”弓矢L'arc”を挙げた。

外国人だったらコンゴ民主共和国の象徴として無邪気に(!)”オカピ”を挙げるところを、コンゴ国民は”レオパード”ときたか。

さらに、運転手に、なぜ、モブツもカビラ・フィスもレオパードが好きなのか、そしてあなたもコンゴの国の象徴としてレオパードを挙げたのかと訊いてみた。
かれは、
「レオパードはfort(強い,毅然とした)、intelligent(聡明)、そしてcalme(静寂、沈黙、平穏、平静)だからだ。」
と答えた。
さらに、レオパードはこの国の北のほうに多く棲息する動物だと付け加えた。


ちなみに、コンゴ民主共和国の3つの大銀行の商標を見てみると・・・。

BCDC銀行の商標 マルミミ?ゾウ
TMB銀行の商標 火焔樹


RAWBANKの商標 三本バナナ&豹




















この国で1909年から開銀するベルギー系の”BCDC”は象(マルミミゾウ?)を使っている。
コンゴ人芸術家を支援する”Trust Merchant
Bank”は真っ赤な花びらを散らした火焔樹を使う。
そして、バナナ三本を寝かせて重ねた商標のRAWBANKは、広告の左端にリアルな豹の写真を使っている。



ばーちゃわーるどさんから届いた質問を考えることによって、この国のことをいつもとは違う方向から見つめることができた。
どんな切り口から見ても興味深い、というか、摩訶不思議だけど魅力的な国ではある。


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