2014年6月9日月曜日

キンシャサ日本語教室のコンゴの青年たち

早いもので、6月2週目に入った。
キンシャサは、乾季に入り朝晩は更にひんやりしてきた。

我が家は、いつものように水問題に悩まされ続けている。
先週金曜日から、トイレ浴室の水道水が一滴も出ない。
食堂とベランダの水道水は出ていたが、昨日日曜日から大元の水道局の断水で家じゅうの水道水が止まった。夕方、湯を沸かして湯浴みをし、食器を洗うとストックしていた3つのポリ容器の水が底を着きかけた。
今朝、早起きの夫が明け方に水道水が出ることを見つけ、洗濯機を回し、ポリ容器3つに満杯のストック水を入れると、再び断水になった。
浴室の水は一滴たりとも滴り落ちてこない。

まったく、あーあ、だ。
わたしたちが6月21日にこのアパートを出て行くまで、ずっとこんな状況が続くんだろうな。


コンゴの若者たち

そんな中、我が家で(おそらく)最後の食卓を囲みましょう、とコンゴの青年たちが遊びに来てくれた。

かれらは、キンシャサ教育大学内で慶応大学が展開する日本語教育プロジェクトの初期の頃に日本語を学んだ生徒たちだ。
優秀な成績を修めて短期日本滞在を経て、現在、そのプロジェクトで教師側に立って活躍している。

以前、その日本語教育プロジェクトで教師として活動し、さらにコンゴ民主共和国にアルティメット競技を普及させてナショナルチームを作ろうとがんばる慶応のひとりの学生が一旦帰国して学業を終え就職活動もしっかり終えて、現在再びキンシャサ入りしていて、その青年が皆の大好物の日本のカレーライスを作りましょう、と言う。
ではわたしも、とサラダを二品と、バナナケーキを作ることに。
そして、先週土曜日にわたしたちはカレーパーティーを開いたのだった。

どの青年も皆、とても礼儀正しく心根の優しいジェントルマンだ。
かれらからは、よくコンゴの昔話や音楽、文化を教えてもらった。
わたしも、なにかちょっとした日本の文化や言い回しを伝えられたらなという思いを持ち続けた。

その日、わたしはかれらにこの前から気になっている2つの質問をした。

一つめの、「コンゴ(民)の象徴となるものはなんだろう?」には、かれらは間髪入れずに「レオパード(豹)だ。」と言った。理由もモブツ元大統領も好きだった動物であり、賢明で静かだけどすばしこくて強いから、という夫の運転手と全く同じ理由を挙げた。
動物ではなくてもコンゴ河でも他のものでもいいと言ったが、かれらは異口同音に「コンゴ(民)の象徴はレオパードだ。」と言うのだった。

二つめの、「”ようこそ”、”Welcome”、 ”Bienvenu” は、リンガラ語でなんと言うんだろう?」
これには、夫の運転手とちょっと違う言葉を口にした。

"Boyeyi malamu" (ボエイ マラム)
"Boyeyi malamu na Kinshasa" (ボエイ マラム ナ キンシャサ)・・・「キンシャサにようこそ」
この言い方がいちばんいいです、と。
運転手の言った、"Oya Malamu"という言い方もするけど、"Boyeyi malamu"のほうがいいと、これまた3人異口同音に言うのだった。
この2つには果たしてどういう違いがあるのだろう。

あーあ、リンガラ語を習えばよかったなあ。
こんなに良い先生たちが身近にいたのになあ。


わたしはお返しに(?)、ランチの後、折り紙で”騙し舟”を折って遊んだ。
そして、風呂敷を持ち出して日本の包む文化のことを紹介した。
どちらのことにも皆、目を皿にして(!)、興味津々で見入っていた。
騙し舟を作って、帆の部分を持って目を閉じてもらい、再び目を開けると何と自分が持っていた部分は船体部分に代わっていた!、という単純な遊びにかれらは目をきらきらさせ、繰り返し試しては折り紙文化の妙味に感じ入っていた。

また風呂敷の紹介では、外出先で手荷物が増えるとバッグに忍ばせておいた風呂敷に包んで持ち帰ることや、よそのお宅におよばれのときに手土産や酒ボトルを風呂敷に包んで持っていくことを話した。
小さな文化紹介だったが、かれらの純粋に喜ぶ姿にわたしはうれしく思うのだった。

かれらは、縁あって日本語を学び、遠い国の日本の文化や文学に興味を持ってくれている。
そして、それぞれに将来の目標をしっかり持っている素晴らしい青年たちだ。
留学生として来日する青年もいるだろう、と確信する。


わたしたちがキンシャサに来てまもなくのころ、建築を学ぶ日本人学生が、キンシャサへ植民地時代の建築物と現在の一般庶民住宅事情を観たいとわたしたちを訪ねて来ることになった。
初老夫婦の(!)同伴よりも、同世代の若者との交流が良いだろうと夫と話し合い、知人を通して、キンシャサでプロジェクトを展開活動中の慶応大生を紹介してもらったのがかれらとの出会いの始まりだった。

それから2年半近く。
慶応大のキンシャサのプロジェクトでたくましく活動する学生たちや、コンゴ人青年、休暇ごとに来キンシャサされるかれらの指導教授たちとの交流は、わたしたち夫婦にとっても本当に楽しいものだった。

そんなかれらに、心からありがとう!!
そして、かれらの将来にこれからもずっとエールを送り続けたい。

6 件のコメント:

  1. ひろさん

    御夫婦が教えたことはコンゴ民にとって素晴らしい事ですよ!!
    色々風習や伝統を教えあいとても心がホカホカします。
    キンシャサを離れることはさみしい事ですが...新たな出会いが待って居ますよ!!
    ギブ産珈琲も待っていますし!!断水で悩むことも無くなりますよ!!
    私は、井上ご夫妻に日本からエールを送っております。

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  2. チカさん、いつも温かなメッセージをありがとう!
    今朝も夫がセコセコと洗面台とベランダの洗濯機の間をバケツを持って往復して水を運んでいました。昨夜から浴室の水だけ出るようになりましたが、入れ替わるように台所とベランダの水道水がストップして。何が何だかわかりません~、というときに「ちんぷんかん(ぷん)!」って言うんだよ~っとコンゴの青年にfacebookで教えました!
    エールを送って送られ!ありがたい、ありがたい。持ちつ持たれつの関係っていいな!

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  3. 不自由な環境でも心のこもった暖かいおもてなしと素敵な交流!!
    hiroさんと尚三さんならではですね~
    心がほっこりほっこりしますw

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  4. チェロ子さん、うれしいメッセージをありがとう!
    でもね、昨日とうとう堪忍袋の緒が切れた!
    水の修理はのらりくらりなのに、大家のテレビ衛星放送のアンテナ配線のために我が家のリビング窓から外に出たいのでリビングに入らせて欲しいと管理人と共に電気工がやってきた。
    数分で終わると言うから侵入許可したのに、40分以上かかって終了。
    明日から始まるサッカーワールドカップ観戦のための衛星放送のアンテナ配線か~と思ったら、無性に腹が立ってきて!
    電気工のお兄さんに悪態付いたら、しっかり悪態付き返された!あー悔しい。
    (フランス語上達したい!!と痛感。)
    我が家はテレビより水問題で疲れ果ててるんですけど、って管理人に言ったら、やんわりスルリ~とかわされて。
    でもね。
    あとで反省しましたデス。もっと大きな心でいなくっちゃ、って。

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  5. 初めまして。私は、日本に住んでいます。主人が、コンゴ人です。コンゴの国を知りたくて、Hiroさんのブログに出会いました。ほっこり、暖かいコンゴの様子が知ることが出来て、嬉しかったです。これからもよろしくお願いします。将来は、コンゴに住みたいと思っています。

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  6. はじめまして!!うれしいお便りをどうもありがとうございます!!ご主人がコンゴの方のですね。コンゴは、東部の戦闘状態も停止となり、少しずつ上を向いているように感じます。キンシャサも住みやすくなったように思うのですが、この国の人々にとってはどうなのでしょう。コンゴ河という大河がコンゴの国でほぼ完結しているという恵まれた水源を擁し、森林資源も鉱物資源も豊かなコンゴの国に必要なのは、祖国を思う国民の思い、そして平和だと思います。子どもの教育も大切な国の柱ととらえて、しっかりとして国づくりを目指してほしいと心から思います。いつかお会いできるかな。

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