2014年4月8日火曜日

キンシャサの小豆

あっという間に、4月も1週間が過ぎた。
キンシャサの雨季もあと1ヵ月ちょっとだ。


さて。
キンシャサ生活であまり行くことのないスーパーマーケット、”Hasson et Freres”。
2年前と比べて、改装して充実してきたと聞いていたし、また肉屋の豚肉がとてもきれいで美味しいという評判も聞いていた。

先々週の木曜日、キティーさんがそのHasson et Freresに行くというので、かのじょに店案内をしてもらった。
かのじょは以前このスーパー近くのアパートに住んでいた。また、夫の事務所も近くだというだけあって、常連客のかのじょはこのスーパーの情報をしっかり把握している。
ここはスーパーとはいえ、野菜も肉も魚もそれぞれに専門店が入り、会計も個別になっていた。
そして、それぞれに新鮮な商品が並ぶ光景にちょっと小さな感動を覚えてしまった。

まず、かのじょは野菜コーナーに入った。
わたしが今まで決して入らなかったコーナーだ。
野菜はわたしが常用するスーパーとそんなに変わらない。ただ、豆類が何種類か陳列されているのに目を見張る。
そして、そこに、何と今までずっと探し求めていた”小豆”かな?という豆を発見する。
それは日本の小豆のように決して赤っぽくはない。


わたしはその時、30年近く前に住んだネパールのカトマンズで見つけた小豆のことを懐かしく思い出していた。
その小豆は、カトマンズ庶民の野菜露天市場、”タラカリ・バザール”で買うことができた。
その小豆も赤くはなくて、どちらかというと緑っぽかった。ただ、形と大きさからして、これは小豆に違いないと思って煮ると、しっかりアズキ色に煮上がり、しっかり”ぜんざい”や”あんこ”にして味わうことができた。ネパールの食材で和菓子が楽しめたのだ。


で、キンシャサの小豆はというと。

赤っぽくはないキンシャサ小豆 ”MBWENGI”

この豆に付いた、野菜売り場の表示は、「KIN MBWENGI  2000CF/100g」、「キンシャサ ウェンギ 約200円/100g」。
日本の小豆のように赤っぽくもなければ艶もない。
でも、形と大きさからして、きっと小豆であるに違いない。
カトマンズの経験から、挑戦あるのみ!と思って購入を決意する。

量り売りのお兄さんに200グラムください、と言ったら、どうやって食べるのですかと質問された。わたしは日本人だから、水でぐつぐつ煮て、砂糖を入れて甘くしてデザートとして食べるのだと言うと、顔をしかめてイヤーな顔をされた。
甘く煮るなんて!!!、と言うのだ。
かれらの言い分は、豆は塩味で副食として食べる、のだそうだ。トマトや野菜と、或いはピーナッツペーストといっしょに煮て塩味で食べるものだと。


そこで今度は、わたしは中央アフリカ共和国のバンギでのボーイとのやり取りを懐かしく思い出すのだった。
当時の我が家のボーイ、フランソワ伯父さんは名コックでもあった。
ある日、わたしが金時豆をぐつぐつ水で煮ていて、とうとう最後に砂糖を入れようとした途端、かれは止めろー!!、とすごい剣幕で台所にすっ飛んできて、わたしの腕をむんずと捕まえて、砂糖壷を押さえたのだった。
豆に砂糖を入れるとは、不届き千万!!、言語道断!!
そんな勢いだった。

いやいや、フランソワ。わが祖国、日本では、豆は甘く煮るものなのだ。
いくら説明しても、しばらくは砂糖をわたしに渡してくれなかった。

それくらい、アフリカの人々には、豆を甘く煮る、ということは奇妙なことに映るのだなと思われる。


でも、フランス語教師から聞いたことによると、コンゴ民主共和国のカサイ地方ではサツマイモと一緒にこの小豆を甘く煮るのだそうだ。
わたしに言わせると豆を甘く煮るなんて信じられないけどね、と付け加えて。かのじょの出身地キブではやっぱり豆は塩味で食べるものだそうだ。
キブ地方(東部)では、この豆を”KUNDE”、クンデと言うのだそうだ。

ちなみに日本から持参した日本の小豆を同じ容器に入れて同じように撮影してみると。

日本からの小豆の美しいこと!

フランス語教師が、まあ、なんと美しい!粒が揃ってまるで薬のカプセルのようだ!、と感動していた。ホント! キンシャサの豆に比べると、艶やかで宝石みたいだ。


購入したMBWENGIを、前の晩から浸水させて、翌朝からぐつぐつと2日間煮続けた。
すると。

しっかり、小豆、だった!

ほら、ご覧の通り!
二度茹でこぼして灰汁(アク)をしっかり取った。
そして、味もしっかり、小豆に煮上がった!

最初は、”ぜんざい”として、二度目は”あんこ”として、神楽坂の”紀の善”を想いながら味わったのだった。

2 件のコメント:

  1. アフリカでは、小豆は塩味で食べるのですね…私は、甘くて食べることが好きですが
    大変、失礼な事をしてしまい、すいませんでした。
    旦那様に日本帰国はいつ頃になるかなどと...今、一番忙しい時に失礼な事をしてしまいました。本当にすいませんでした。

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  2. チカさん。コメントをありがとうございます。所変われば品変わる、で食文化もそれぞれの地で異なり、興味津々です。キンシャサはただいま、”マケレレ”、こおろぎが市場に出回って旬の食べ物のようですよ。
    夫は、チカさんからの質問をよろこんでいましたよ!早速、キンシャサ会幹事をしてくれるのかな~、って。よろしくお願いしますー!!!

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