2014年3月5日水曜日

キンシャサ水道事情

キンシャサの水道事情の悪さには辟易する。

アフリカ大陸でナイル川に次いで第2のコンゴ河をほとんど丸々有するコンゴ民主共和国なのに、である。
関係ない、かな。
コンゴ水道局のメンテナンスのずさんさ、そして、建物の水道設備の稚拙さ。
この二つが原因なのは明らかだ。

あーあ!
またまた(家政婦情報によると)我が地区一帯、昨日夕方から断水だ。

キンシャサ・仏大使館近くにあるパン屋&カフェ”Nouvelle Patisserie”~憩いの空間!


このアパートで生活を始めて数ヶ月の間は、停電すると必ず断水してそれがしばらく続くのだった。

最初の数ヶ月は、このアパートには停電時のキンシャサ生活必需品、自家発電機が設置されていなかった。というか、設置されていたのだが、自家発電機が壊れてそのまま放置されていた。
だから、停電になるとポンプが作動せず水道水が使えないのは理解できた。
でも、断水したら、ひどい時は2日も3日も水道からの水が一滴も出なくなった。やっと断水解除だと喜んでいたら、また停電となりまた断水になった。
台所と浴室に置いた大型ポリ容器に貯水した水も不足する有様だった。

わたしは夫に何度も何度もこのアパートから引っ越そうと言い続けた。
アフリカ経験豊かな夫からは、その度にわがまま言うなー!、工夫するのみー!と言われ続け、暗い暗ーいキンシャサ生活が続いた。

2,3ヶ月して、この頻繁に起こる断水はアパート内でも我が家だけだということが判明。
理由は、停電の度に我が家の水汲み上げポンプのスイッチが切れて、3階の我が家まで水道水が上がって来ないばかりでなく、停電が解除されても我が家だけスイッチオフ状態のままになっていたのだった。
それが分かってからは、停電が解除される度に階下に行って門番と一緒に庭にあるポンプ室に行き、ポンプの我が家のスイッチをオンにしてもらう、ということを続けた。数名の門番が交代でいるが、かれらは一向に、「停電解除→スイッチオン!」のパターンを学習しなかった。

さらに数ヶ月過ぎ、自家発電機の設置を懇願し続けて、やっと大家は中古の自家発電機を取り付けた。
設置されたときは、このアパートの日本人たちで祝杯を挙げた。

それからは、停電すると我が家のポンプスイッチは切れたままになるので、アパートの自家発電機が作動し始めたら庭のポンプ場まで降りて行ってスイッチを入れてもらう。停電が終わって自家発電機がストップするとまたスイッチが切れるので、下に行って門番にスイッチをオンにしてもらう、ということを繰り返した。

しかし、門番は一向に学ぶことはなく、停電の都度、停電終了の都度、わたしは階下に行って門番にスイッチを上げるように指示し、かれらの学ばない姿勢に悪態をつくのが常だった。


その間にも、”REGIDESO”というコンゴの水道局の断水は起こった。


そして、わたしが今年1月、2月とキンシャサを留守にしている間に、我がアパート東側所帯のポンプが故障し、夫は3日間の断水を経験した。
何度も何度も催促して、ポンプを修理してもらい、やっと水道から水が出た、と思ったら、浴室の水道の水圧が極端に弱くなり、シャワーが使えなくなった。

そして、わたしがキンシャサに戻ってきてみたら、停電時以外にも、アパート内のタンクの水が無くなったといっては断水。
タンクに水が貯まって断水が終わっても、浴室の水圧が弱くてシャワーの水はチョロチョロ。湯はまったく出ない。
そんな日々が続き、シャワーの度に夫が、大鍋と電気ポットをフル活用してシャワー室まで熱湯を運び、浴室のポリ容器の貯水で適温にして「湯浴み」するということを続けた。


浴室バスタブ横に置いた貯水用の大型ポリ容器2つ


もちろん、その間、このアパートの2階に住む大家(モブツ元大統領愛人!)の息子家族のところに日参して、水圧が弱まってシャワーが浴びれないことを言い続けた。

老マダム大家はしょっちゅう南アのヨハネスブルクに旅行に出ているため、懇願相手は老マダム大家の息子の嫁のマダム・アニーさんだった。
お陰で、かのじょと顔見知りになった。英語も話す、スマートでとってもきれいな女性だった。

かのじょも分かっていたようだ。
ポンプが修理不能で、取り替えたポンプの出力が小さいものだった、ということを。
それでも、かのじょにとって、大家のママンドゥーズィはお姑さんに当たる。
立場として言いにくいことは理解できた。
それでも、毎日毎日懇願し続けた。
夫は、もうこんな状態が続くのだったらここを出て行くと言ったようだった。


そして、1月末の断水から1ヵ月半。
わたしがキンシャサに戻って1ヵ月。

やっと、昨夕、以前と同じ出力のポンプに取り替えられたようだった。
門番がこれで水道水は問題なく出るよ、とほっとしたような自慢げな顔をして我が家を訪ねてきた。


ところが、である。
出力の大きなポンプに取り替えられた途端に断水だ!
せっかく、久しぶりに水圧のある、そして温かい湯でのシャワーを夢見ていたのに、である。
最初の断水は取替え工事のミスが原因のようだった。
その時の断水はほどなく解除。
ところが、間もなく始まった二度目の断水はコンゴの水道局”REGIDESO”側の問題のようだった。

夜中から朝までは水道が使えたので、夜中に起きて食器を洗い、明け方から、今夕のお客さんの夕食準備にかかり、洗濯機を回した。
そしてまた、今日、午前中から断水再開!、となる。

あらかたの夕食準備を終えていて良かった。
もう午後3時になるけど、断水は続いている。


コンゴ人の運転手は、水よりもっと問題なのは電気だよ!、と暗い表情で訴える。
コンゴ人の居住地域にあるかれの家では、朝6時から夜10時くらいまで毎日電気が来ないのだそうだ。だから、冷蔵庫に物を入れられないと言う。
家政婦の住む地域ではそれほどひどい停電はないそうだが、かれらの居住地域では昼間に停電することはめずらしくはないのかもしれない。
外国人の多く住むゴンベ地区(我がアパートもこの地区)はそれに比べると停電なんて短時間だ。ゴンベ地区は優遇されているのだろうか。

巨大なインガダムが流水量豊かなコンゴ川で稼動しているのに、隣国にも電力を売ろうとしているくらいなのに、何が問題なのだろう。

運転手は、インガダムからキンシャサまでの送電線に問題があるのだろうと言うのだった。
インガダムを見学したとき、確かに巨大なシステムに圧倒されたが、電気を起こすシステムの3つ(だったか?)の内の1つが故障して稼動していなかったことも記憶から蘇るのだった。

この国はあちこち継ぎはぎだらけ、外見だけ繕って中身もメンテナンスもずさんなのだ、と深いため息が出てしまう。
コンゴの人々の生活の困難さに思いがいくと、わがままも言ってられないなと反省してしまうのだった。


しかしなあ。
フランスでショートヘアにして以来、頭に白いものが目立つようになり、鏡を見ると寂しさを感じるようになった。
この1ヵ月で白さが更に増したようだ。
もうしっかり初老のマダム、だ。

キンシャサ水道事情のストレスなのかも、なあ。

4 件のコメント:

  1. ふぅー!!!たいへんだねー。水は暮らしにかけがえのないものだものねー。でもそのような暮らしの中で得た忍耐強さは、いつかきっと役に立つ時がくると思います。今の日本の生活で、そこまで忍耐がいることは、そうそうないもの。寛子さんをひとまわりもふたまわりも大きくしてくれる、、、それがアフリカ生活なのだと思って、もうしばらくがんばってね。 麻里子   

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  2. 麻里子さん、ありがとうございます。日本ほど暮らしに便利な国はないと思います。コンゴの人々の環境の劣悪さの中での暮らしは本当に大変なはず。
    欧米人(日本人韓国人も含めて)の暮らしのレベルの違いを間近に見るとき、コンゴの人々はどう思うのだろう。
    自国政府、自国技術が未熟なまま欧米文化が入り込んで、自国民の生活に混乱を起こしているように思えてなりません。
    自立援助、ってなんなのだろうなどと思ってしまいます。

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  3. 本当に真理子さんやひろさんが言う通りだと思います。
    コンゴは携帯電話やpcばかりに国民の目は向かっており、
    生活に必要な電気・水道・道路はにのつぎ様に感じます。

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  4. チカさん、メッセージをありがとうございます。今日も朝から断続的に断水が続いています。もう何が悪いんだか原因なのだかわかりません。自国政府と自国民でこの国でまず早急に何をせねばならないかを考えて行動して欲しいです。キンシャサでは、外国人用のと思われるアパートが次々に建設されていますが、水道電気の設備や供給は大丈夫なのでしょうか。本当にふしぎな国です。

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