昨日のその建国記念日に、国王アルベール2世(79)が退位し、長男のフィリップ皇太子(53)が即位。ベルギー新国王が誕生した。
それを祝って、同日、日曜日にキンシャサ・ゴルフクラブで祝賀ゴルフコンペが催された。
ゴルフコース途中の休憩所 |
① 参加費21USD
② 午前9時21分各ホール一斉スタート
③ 21ホール(18ホール+3ホール)のプレイ。
各コースのグリーンに立つポールの上にはベルギーの国旗が付けられ、参加者はベルギー国旗の赤、黄、黒の色をどこかに着用してプレイすること、と参加規定に記されていた。
まずは、赤、黄、黒の色をまとった72人の参加者が集合して最終ホールのところで記念撮影する。全体が国旗になったような色合いだ。
そういう遊び心がまた楽しい。
皆が本当にこの日の企画を楽しんでいた。
二人一組になって二組ずつが18のホールから9:21ぴったりに合図音とともに一斉にプレイを開始した。
わたしは10番ホールスタートのグループだった。
わたしは、キンシャサの日本大使館に勤務するベルギー国籍のゲルダさんと組むように指示されていた。
彼女は40代とは思えないカモシカのような脚、美しい体形、美貌の持ち主で、ドラコン賞をよく取るほど飛距離抜群のゴルフ上級者だから、クラブ側の発表を見たときは、緊張感が増した。
彼女に迷惑はかけられない。
当日のわたしたちの同伴者は、ベルギー人と韓国人のムッシュたちだ。
とにかく、キンシャサでこれから先どのくらいコンペに参加できるのだろう、ひとつひとつのコンペを大切に楽しもう、と心に決めてスタートに立った。
始まってみると和気あいあい、とても楽しくプレイができた。
ティーアップのときだけ、2人とも球を打つ。そして、どちらか良いほうの球を選んで、交互に打っていくという方式でのプレイだった。
当然、ほとんどのホールでゲルダさんの球が採用された。
かのじょの球の飛距離には目を見張った。
たまにわたしの球が採用されたが、それはわたしの球の飛距離が勝っていたからだけではない。
彼女はしっかり作戦を持っていた。
わたしの球を採用して2打目で彼女が抜群の飛距離を駆使してグリーンに載せられると算段したときは、彼女はわたしの球を採用した。(もし、かのじょの球を採用した場合、次の打者はわたしになる。そうすると、絶対に2打目でグリーンに載せることは不可能だ。)
わたしは、池があるだけで緊張して池に球を落としてしまうが、かのじょはそこのところもしっかりわたしをフォローしてくれた。
もし池に落としても、1ペナルティーで次にわたしが絶対池の向こうに飛ばすから大丈夫!!
かのじょのその言葉で救われた。
もし平均して5打で各ホールを終えたら、スコア90が出せる。
それは、かのじょのいつものスコアと引けを取らないはず・・・。
”平均5打”。わたしは密かにこの数字を目標にした。
わたしたちはインコースからプレイが始まったが、池が少ないコースが前半に来たのも幸いした。
インコースが終わった時点で、”平均5打”の目標は達成されていた。
アウトコースもどうにか”池ポチャ”を免れながら進んだ。
もうひとつ、この苦手な8ホールすらクリアできれば。
かのじょからそのホールの作戦を聞いた途端に意気込んで、何とわたしは空振りした!!
ムッシュたちが、ま、そういうこともあるさ、と優しく慰めてくれる。
ゲルダさんも、平静心で、平静心で、と柔らかな声で言ってくれる。
このホールだけ、目標は達成できなかった。
かのじょは、内心悔しかったはずだ。
でも彼女は、まだばん回できるから、と自身を諭すように言った。
18ホール終了した後も3ホール付け足しでプレイが続く。
3ホールだけ再プレイして良いスコアのほうが採用されると聞いたが、もう皆の戦闘心は萎えていた。
ゲルダさんは休憩所でアルコールをすすめられてほろ酔い気分だ。
そんな風に21ホールが終了した。
スコアはゲルダさんが集計してくれた。
わたしたちのスコアはどうだった?
うん、悪くないよ。
かのじょは表情が緩んだ。
そばで聞いていた同伴者のベルギー人、エリックさんが言った。
きっとあなたたちは何かの賞を取ると思うよ。
一斉スタートのプレイだったから、ほぼ同時に終了し、皆がメインパイヨットに戻ってきた。
乾季の気持ちよい空気の中で、ゆっくりとアペリティフをとりながら参加者たちはそれぞれの結果を披露し合っている。
夫は初心者と回って結果は散々だったといいながら、新発売のプリムスビールのレモン果汁入りを飲んでいる。
皆、満足げな表情でくつろいでいる。
そしてベルギー料理名物のフリッツ(フライドポテト)と肉料理が運ばれ、皆に振舞われた。
3時過ぎのランチだ。
デザートは、砂糖衣のナッツがサンドされた四角い巨大スポンジケーキだ。
ベルギー国旗を模している。
赤はベリージャム、黄はレモンジャム、黒はチョコレート。
それから表彰式が始まった。
まず表彰されたのは、なんとベストドレッサー賞。
男女それぞれひとりずつが選ばれた。
うーん、さすがにおしゃれなムッシュ、マダムが選ばれる!
かれらは、ベルギー国旗の3色すべてを上手にコスチュームに取り入れている。
選ばれたムッシュは、立てた襟に黒でラルフローレンだかのロゴが入っている真っ赤なポロシャツを着て、黒のパンツに鮮やかな黄色のベルトがおしゃれの達人を思わせた。
表彰は続いていく。
カテゴリ1(上級者グループ)で日本の柳田さんが呼ばれた。
やっぱり、柳田さんはすごいゴルファーだな。
そして何組目かで、わたしの名前が呼ばれた。
あれ?聞き間違いかな、と思ったら続いてゲルダさんの名前も聞こえた。
間違いない。ゲルダさんが立ち上がった。
とっさにわたしも立ち上がる。
開催者側から満面の笑顔で迎えられた。
おめでとう!
夫が、わたしたちはカテゴリ3(初心者グループ)の2位だ、と言ったが、何位賞なのかはっきりわからないままだった。
ベルギー新国王祝賀コンペの賞品 |
賞品の酒二本をいただいた。
ゲルダさんとも握手して二人の健闘を喜び合った。
ゲルダさん、ありがとう。
かのじょは強くて真っすぐな人だ。
一緒にプレイして、ゴルフ以外のことでも学ぶことが多い人だと感じた。
いつもゴルフのことで適切な指導やヒントを授けてくれる柳田さんが、このAMARULAはコーヒー味で甘くて美味しい食後酒だよと、わたしにプレゼントしてくれたから賞品は三本になった!
がんばったね、と言われたようで、かれの心遣いが胸にしみた。
このコンペをもって、キンシャサ・ゴルフクラブのコンペは終了し、休暇に入る。
キンシャサでは、子供たちの学校休暇に合わせてすでに多くの外国人が本国に戻っている。
7月、8月とゴルフコースが閑散とするシーズンに入る。
コンペの締めくくりに、ベルギー国籍の方はご起立くださいとアナウンスがあった。
参加者の半数以上が起立した。
ゲルダさんも起立している。
そして、ベルギー新国王の誕生を祝って国歌を斉唱し拍手しあった。
フィリップ新国王は、第7代ベルギー国王になるのだそうだ。
先代のアルベール2世は、2010年のコンゴ民主共和国独立50年記念祝賀会にキンシャサ入りしていると聞く。
旧宗主国として現地の人々を翻弄し権益をむさぼった長年の悪政に対して憎まれ、それと裏腹に懐かしまれ、複雑な思いを寄せ続け合い、切っても切れない関係が続くベルギーとコンゴ民主共和国。
ベルギーは,南北地域の言語対立から国家分裂の危機も言われ、新国王には手腕の試されるところだろう。
日本の皇室とも深い繋がりがあるようだ。
かれらの歌声と拍手を聞きながら、わたしもベルギーの国の発展を祈ったのだった。
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