2017年1月25日水曜日

キンシャサ便りふたたび17 キンシャサ、平和通りの靴磨きムッシュ

アベニュー・ド・ラ・ぺ Anenue de la Paix の靴磨きのムッシュ (撮影 夫)


キンシャサ中央駅前から真っ直ぐに伸びる6月30日通りを進んで右折すると”Rond-Point Forescom”という、道路が7本にも分かれる円形交差点がある。
そのうちの一本が、この”Avenue de la Paix”、わたしたちの住むアパートの前の通りだ。

”La paix”とは、フランス語で「平和」という意味。
パリのオペラ座近くを通る、ツンとすました、”Rue de la paix”とは大違い。
キンシャサの平和通りは、舗装されてはいるものの、下町のごちゃごちゃした通りで、わたしたちの住むアパート側には銀行のATM、食堂などが並んでいるが、2車線の通りの反対側は、植民地時代からの崩れかけた、ダイヤモンドの絵なんかが描かれたりする古い建物が残っているような通りだ。
そんな冴えない通りに、コンパクトにまとめられたキヨスク屋台小物売りやら、バナナ売りマダムやら、携帯電話のクレジットカード、両替商のムッシュやらの露店が暇そうに日がな一日座ってぽつぽつと店開きをしていて、そういう点では、本当に”平和”そうな雰囲気の通りではある。

左は携帯電話のカード売り、右は感心するほどコンパクトに並べられたキヨスク屋台

この反対側の歩道に、冒頭の靴磨きのムッシュが陣取っている。
キンシャサの人々は靴のオシャレには結構なうんちく(?)を持っていて、街のあちこちで靴磨きのムッシュを見かける。
わが町、赤羽で見かける露店の靴磨きのおじさんは黒光りのするような年期の入った木製引き出しを背に身の回りをきっちり整理整頓して靴磨きのプロっぽく座っているのだが、ここの平和通りのムッシュはこの通り。周りにビニル袋が数袋あるのみ。
で、わが夫、何を思ったか、出勤前に靴磨きに行ってくる、とアパートの鉄扉を出て道路を渡った真正面に座るムッシュのところに出かけて行った。

わたしは、もちろん留守番。
夫は、意気揚々と帰ってきて、さあ靴もピカピカになったぞ、と晴れやかに出勤していった。

10分くらいで300~500コンゴフランくらいが相場なのだそうだ。日本円で30円から50円弱。
聴くところによると、このムッシュ、2001年からずっと、露店靴磨きをやって生計を立てているのだそうだ。
ビニル袋数袋とプラスティック椅子だけで早15年!靴磨きのプロ、じゃん!!!
毎日、平和通りに陣取って靴を磨き続けて、家族を養って。
夫は、応援の気持ちを含めて、1000コンゴフランをムッシュに払ったそうだ。

この通りにももちろん、街のあちこちで見かける街路床屋も店開きしている。
角の欠けた、ちょっとひびも入っていそうな鏡を無人の建物の壁に立てかけて、プラスティックの椅子とテーブルと、そして商売道具の入っているビニル袋だけの街路床屋。
昨年の逃避行前の11月のある日、わたしたちの住むアパートの駐車場の庭でこんな光景に出会った。

我がアパートの駐車庭で出張床屋が店開き!

のどかでしょう。
門番もアパートのオーナーも誰も文句を言わない。
(このムッシュもピカピカの靴をお召し!キンシャサ男性、キノワは足元にまで気配りするのだ!)

通りで店開きをしているひとりひとりに、背負っている人生があるのだろうな。
しみじみ思う。
キンシャサ庶民の(本当はコンゴの国全体の!)平和が保たれますように。

4 件のコメント:

  1. 昔とあまり変わらない風景ですね。我が家でもキンシャサで同じような経験が・・・ YUZ

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  2. え、もしかして、YUZさんも街角靴磨き派でしたか。街角床屋もかな。
    かれらののどかな生活が続きますようにと、かれらの笑顔を見るたびに思います。

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  3. 私がいた頃(1976-78)はマーケットへ行っても輸入品は数えるほどしかない状況でしたが、現在より庶民の経済状況はもう少しましだったのではないかと思います。そのせいか、靴磨きも大人より、子供達の仕事という印象が強く残っています。ひょっとしたら、その昔私の靴を磨いた子供がずっと仕事を続け、ご主人の靴を磨いているかもしれませんね。YUZ

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  4. 現在、1米ドルは1200から1300コンゴフランの間を行き来し、コンゴフランの価値がずいぶん下落しています。庶民の生活は本当に厳しんだろうと思います。それでも、街中には新しいショッピングセンターがオープンし、ボーリング場までできています。どんな階級の人がここにお金を落としていくんだろうかと首をかしげてしまいますが。
    現在、ガボンで開催中のサッカーのアフリカンカップでコンゴ民主共和国がベスト8に入り、試合時間はテレビ設置の街角のあちこちから大歓声が沸き上がり、盛り上がっています。明日夕方には準決勝進出目指してガーナと試合予定で、コンゴ国旗や帽子、ラッパなどの応援グッズ販売のコンゴ人が通りを往来して売り込んでいます。
    そういえば子どもの靴磨きは見かけません。ストリートチルドレンは見かけますが。

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