2013年4月25日木曜日

コンゴ独立の祝歌 ~ ”Indépendance Cha Cha”

 
先月、東京からの友人二人がキンシャサに滞在中のことだ。
ある夜、慶応大学のコンゴプロジェクトの一つとしてキンシャサ教員大学の敷地内に建設された日本文化センターで日本語を教える慶応大学の学生二人と、第一期日本語教室修了生で現在は日本語教室の教師補佐(かな?)を務めるコンゴの若者二人が我が家に来て、共に食卓を囲んだ。

ウェッツさんという若者は音楽が好きで日本で購入したというギターを持ってきていた。
コンゴでよく歌われる歌を聴きたいな、というわたしたちのリクエストに応えて彼らが真っ先に選んだ曲が、これからわたしが紹介したいと思う、”Indépendance Cha Cha” ~コンゴ独立の祝歌~だった。


Wikipediaによると、この”Indépendance Cha Cha” は、コンゴ人歌手、Le Grand Kalle によって歌われたアフリカン・ルンバだとある。
またこの歌は、コンゴ独立の5ヶ月前の1960年1月20日に作られ、同月27日に初演されている。
フランス語、リンガラ語、キコンゴ語(Wikipediaには、リンガラ語の代わりにチルバ語が記されているが、コンゴの人々に訊いたところ、チルバ語は使われていないと言う。)の3つの言語で作詞されているそうだ。
3分05秒の曲で、作者はRoger Izeidi。


※ ”ルンバ”・・・・19世紀初め、キューバのアフリカ系住民の間から生まれたリズム。4分の2拍子で活気のあるリズムが特色。


また、”Indépendance Cha Cha” は、ベルギー領コンゴの押し迫った独立を祝うために、1960年に、人気のあったアフリカン・ルンバのスタイルでジョセフ・カバセル(Le Grand Kalle)によって歌われた、ともある。
Le Grand Kalle は、有名なコンゴ人歌手だったらしく、コンゴ文化の象徴として、ベルギー,ブリュッセルで開かれたコンゴ独立を話し合う円卓会議に出席するコンゴ代表団に同行し、そのとき(1960年1月27日)に、かれはブリュッセルのホテル・プラザでこの”Indépendance Cha Cha” を初披露したのだそうだ。


”Independance Cha Cha”が初演された、当時のブリュッセルのホテル・プラザ



この歌は、ベルギー領コンゴとフランス領コンゴの言語を組み合わせて使いながら、コンゴ政治の派閥間争いの統一を訴えるのみならず、コンゴ独立後の統一を訴える曲だったのだ。

そんなふうに、アフリカで啓蒙ソングのように歌われ、特に、フランス語圏の国々で大きなうねりとなり、国家独立に少なからずの影響を与えたようだ。実際、1960年,1961年は、アフリカの多くの国々で独立が相次いだ年だ。
新しい革命の歌として庶民の間に広まり、特に、国語で歌われたこの曲は新独立国家の仏領コンゴとベルギー領コンゴで圧倒的支持を受けた。


そして、ベルギー領コンゴは、1960年6月30日に宗主国ベルギーから独立した。



この歌は、独立の喜びに溢れていて、わたしたちは結束してわたしたちの国を作っていこう、という明るい前向きな啓蒙の歌でもあるのだなあと思う。
とても軽やかな、希望に満ちたメロディーだ。


詞の1行目の ”tozuie” は、リンガラ語で「取りました。」という意味。
また、2行目の ”tubakidi” は、キコンゴ語でやはり、「取りました。」と意味だそうだ。
独立を勝ち取ったぞ!、と高らかに宣言しているかのようだ。
3行目に、フランス語で、”table ronde”(円卓会議)の言葉が出てくる。

以下太字はリンガラ語、キコンゴ語,フランス語で同じ言葉の繰り返しだ。

細字部分には、コンゴの政治家の名前も入っている。
1960年の独立とともに初代大統領となり、1965年モブツ将軍(後の悪名高き大統領)のクーデターにより失脚,追放されたカサブブ(Kasabuvu)がいる。
また、1960年1月の独立交渉に参加、その中心的役割を果たし、独立と同時に初代首相の座に就いたルムンバ(Lumumba)もいる。


Indépendance Cha Cha :(言語のまま)

Indepance chacha tozui e
O Kimpwanza chacha tubakidi
O table ronde chacha babagner o
O upanda chacha tozui e

Asireco na Abako
Bayokani moto moko
Na Conakat na cartel
Basangani na front commun
Indepance chacha tozui e
O Kimpwanza chacha tubakidi
O table ronde chacha babagner o
O upanda chacha tozui e


Bolikango, Kasabuvu
Mpe Lumumba na Kalondji
Bolia, Tshombe, Kamitatu

OIndepance chacha tozui e
O Kimpwanza chacha tubakidi
O table ronde chacha babagner o
O upanda chacha tozui e



50年以上前の歌にもかかわらず、いまだにコンゴ人に歌い継がれている曲。
独立後、この国は指導者に恵まれず、天然資源の豊富な国だということで先進列国の間で翻弄され、厳しい道を歩むことになる。
それだけに、わたしには、なんだか、もの悲しいメロディーにも聴こえてきたりもするのだった。


Grand Kalle - Independance Cha Cha - YouTube

4 件のコメント:

  1. こんにちは。はじめてお訪ねしました!じつは、6月半ばに仕事の会議でキンシャサに誘われており、是非行きたいと思いつつ、あまり情報がないのでネットをうろうろしており、コチラを発見!
     滞在は長くても1週間。訪問はまだ未定なのですが、する場合は、黄熱病の予防接種は必須とありましたが、その他に、マラリアやコレラなども推奨されていましたが・・・・。
     東南アジアの国などに行く場合は、まず受けないのですが、アフリカははじめてl。お時間ある時に基本情報など、教えて下さいますでしょうか。

    返信削除
  2. noreizokoさん、ようこそ。わたしは医学には素人なので・・。わたしがキンシャサに来る時は、夫の指示で黄熱病の予防接種だけ受けました。キンシャサの空港で入国審査の直後に黄熱病予防接種証明カードを提示するカウンターがありますので、これは絶対必須です。滞在1週間だし、生水、生焼けのものに注意し、夜の蚊に注意していれば、コレラなどの予防接種は不要かなあと。そしてマラリア予防薬服用も不要かなあと思いますが、いかがでしょうか、隣人先生!それよりも、街中の外国人の歩行禁止。タクシーには1人で乗らない。空港も関係者に送迎を依頼する。そして6月は乾季なので南緯4度のキンシャサですが、夏の高原のような気候でひんやりしています。長袖の羽織物をお持ちください。どなたか、他に良いアドバイスがあればお願いします。キンシャサでお会いできるかな。

    返信削除
    返信
    1. 早速の応答、真子にありがとうございます!とても参考になりました。多謝でです!

      削除
  3. どういたまして~♪
    キンシャサの街は底知れぬ怖さを感じるし、また興味も尽きません。
    どうぞ、キンシャサにいらしてくださいね!

    返信削除