蟻は甘いものに集るだけではなかった。
肉を解凍するために、ちょっと台所の流し台に置いておくだけで、黒山の蟻集り、だった。
食卓テーブルの上に置いた食品にも蟻は集った。
テーブルの脚に輪ゴムをはめると、蟻の道が遮断されて蟻防止になると聞いて試したが無駄だった。
だから、密閉容器は必需品だったし、食料は全て冷蔵庫か冷凍庫に保管した。
当時、バンギで一軒家に住んでいた日本人から聞いた話だが、1ヶ月の休暇が終わって帰宅してみると、なんと玄関に蟻塚が天井に届かんばかりにそびえ立っていた、というくらい、蟻の生命力はすごかった。
それに比べると、キンシャサでは、”身の毛もよだつ”くらいの蟻の群集は見かけない。
台所に肉を置いていても蟻は寄ってこない。
ただ、甘いものにはもちろん蟻は”道”を作って遠路はるばる我が家までお越しになる。
ビスケットの粉などをぽろぽろこぼす夫の足元は要注意だ。
キンシャサの蟻は、やはり小型だ。
でも、ゴルフ場の大木の幹の木肌には蟻がうじゃうじゃ。
この蟻たちはちょっと大型だ。
甘い木の実のかけらを運んでいるのか、木の汁を運んでいるのか。
大木の陰に隠れてゴルフの順番を待っているとき、いつも幹を昇ったり降りたり、忙しく働く蟻の姿を見かける。
蟻は一筋の道を通るから、鉢合わせになってはどちらもがちょこっとずつ譲って通り抜けてゆく。
多くの木が並ぶキンシャサのゴルフ場 9番ホール |
そんなときに思い出すのが、童謡の”おつかいありさん”だ。
♪ あんまり いそいで こっつんこ
ありさんと ありさんと こっつんこ
あっちいってちょんちょん
こっちきて ちょん
あいたた ごめんよ そのひょうし
わすれた わすれた おつかいを
あっちいって ちょんちょん
こっちきて ちょん
わたしがこの詞の中で大好きな部分が、
「あいたた ごめんよ そのひょうし。 わすれた わすれた おつかいを。」
のところだ。
作詞者も、物忘れの名人だったのかな、とか想像するのも楽しい。
童謡、って日常生活のひとコマをしっかり織り込んでいて、それでいて子ども目線を盛り込んでいるところが魅力なのだ。
(童謡については、また別の機会に。)
蟻どうしが鉢合わせしたところを見たときは思わず、そ~ら、何をおつかいしていたか忘れただろう~、と話しかけたくなる。
キンシャサで、まだひどい蟻被害に遭っていないから、こんな悠長な目線でいられるのかもしれない。感謝、感謝。
ところで、この国にも、日本の”童謡”のような歌があればいいな。
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