2019年3月25日月曜日

キンシャサで見つけた赤い実




ワガドゥグからこんにちは。
今日は、キンシャサで出会った、この赤い実のことを書いておきたくなりました。

この、赤い実は天然の色!
わたしの大好きな”陽赤”色だ。
大きさは、昔よく見かけた、数珠玉と同じくらい。均等な大きさだ。
数珠玉には、真ん中に天然の「穴」が通っているから、穴の枯れた藁様のものを取り除いて、簡単にネックレスを作れる。
でも、この赤い実には、穴がない!
穴をくりぬこうとしても、堅い!
でも、キンシャサの女性支援団体が企画していた店で、この赤い実のネックレスを見つけて土産に買ったことがあった。その店は残念にも閉店となり、この赤い実のネックレスは入手できないままになった。






左は数珠玉のネックレス。右は、赤い実で作った”想像”のネックレス。
キンシャサで出会った、よその国の大使夫人が白い麻ブラウスに数珠玉のネックレスを二重か三重にして合わせていたのがとても素敵だった。
わたしは、そのときに、赤い実のネックレスもシンプルに長く繋ぎ合わせて作れたらなと思った。

キンシャサのゴルフ場には、この赤い実がたくさん生り、落ちていた。





鞘から弾けて落ちてきた、赤い実だ。
このまま、ブローチにしたいくらいだった。

ある時、わたしが持ち帰った赤い実を日本の友人に見せたら、シンガポールでは幸せをよぶ”サガの実”として知られている、と教えてくれた。
友人の話では、シンガポールでは、マレー語で”サガの実”と言い、何粒か財布に入れておくと金運がアップすると伝えられているそうだ。
また、百個集めたら幸せになり、千個集めたら願いが叶う、とも言われているとか。
言い伝えられている内容は多種あるようだが、シンガポールでは、子どもたちが一生懸命集める”サガの実”なのだそうだ。

調べると、シンガポールでも高さが25m(40mの巨木もあるとか)で、幹回りは5m近くもあり、公園や街路樹として植えられているそうだ。
”サガ”の名前の由来は、アラビア語で金細工師を意味する言葉に通じる、と書かれていた。
この赤い実は、大きさや重さが一定していることから、金の重さを量る単位として使われていた、ということから来ているのだそうだ。
また、この実は”ラブ・シード(愛の実)”とも呼ばれていることも知った。
形がハートの形に似ているので、この実を集めて小瓶に入れて、告白代わりに愛する人に渡すのだそうだ。
花は黄色で5枚の花弁を持っている。
日本でも、明治末期に台湾から沖縄に移入されたそうだ。根に根粒菌を持っているので痩せた土地の改良目的だったようだ。

キンシャサでは現地の人はこの赤い実に見向きもしなかったように思う。
そして、誰に訊いても、名前も知らない、と言うのだった。

京都で染色を学ぶコンゴ民主共和国からの留学生が、制作発表の時にこの赤い実のネックレスを藍染のドレスに合わせて使っていた。藍の色と、陽赤色がとてもよく似合っていた。
赤い実の名前をかれに訊くと、リンガラ語で”マイケ”。
フランス語では、Oeil de Paon。(孔雀の目、と訳される。)
 木のことは、Bois de Santal。(白檀の木、か。)
そう教えてくれた。
そして、かれは、わたしにこの赤い実を黒糸で繋げたネックレスをプレゼントしてくれた!

思い出の赤い実、の話でした。
ああ、こうして残しておけて幸せ。